現代アーティスト、fumiko imano。双子をモチーフとした写真作品 『We Oui(双子のプロジェクト)』がアイコニックだ。彼女がスペインのラグジュアリーブランド「ロエベ」とコラボレーションし、コレクションを紹介するハードカバーのルックブック「パブリケーション」に2018年春夏コレクションから参加しているのをご存知だろうか。
imanoはイギリスのセントラル・セントマーチンズでファインアート、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでファッション写真を専攻。留学中マラヤン・ペジョスキー、シャルル・アナスタスなどブランドでショーバックステージの撮影などを経験。また世界的ファッションフォトグラファー、ニックナイト主宰のデジタルメディア「SHOWstudio」に作品を寄稿しているなどファッションと距離が近いアーティストだ。
ロエベのクリエイティブ ディレクター、ジョナサン・アンダーソンとM/M(paris)と作り出したこのコレクタブルブックは、imanoの『We Oui』作品のように同様にフィルム写真を切り貼りして双子の世界を作り出している。imano自身の作品でも異世界感があるが、このコラボではロエベの服も合いまって、不思議なおとぎ話の世界ようだ。
ロエベ2018年春夏パブリケーション#17より
2018年春夏では、モデルのサスキア・デ・ブロウとフランスパンを持ってチャンバラ(フェンシング)をしているシーンがコミカル。2018年秋冬では、どや顔で佇むimanoがアフリカ系モデルのリヤ・ケベデに劣らない存在感。
ロエベ2018年秋冬パブリケーション#20より
2019年春夏ではモデルのアンバー・ヴァレッタ相手に写真家とクチュリエを演ずるという設定になり、カラーペーパーのみのシーンとなった。撮影場所はいずれもロエベがランウェイショーを行うユネスコ本部だ。
ロエベ2019年春夏パブリケーション#23より
ジョナサン・アンダーソンとfumiko imanoの同一性
アンダーソンは彼女のどこに引かれたのであろう。彼もimanoと同じロンドン・カレッジ・オブ・ファッション出身だが、無論それゆえではない。ジェンダーレスファッションの先駆けである彼自身のクリエーティヴィティーにあると感ずる。
imanoは幼少時をブラジルで過ごし、ロンドンに留学、パリで生活し、日本に戻りいまは茨城の日立市を拠点としている。この多様な国・カルチャーを経験したことが、双子作品が生まれた背景という。
アンダーソンが評価されてきたジェンダーレスなテイストは多様性が叫ばれる時代の雰囲気を自然と感じ取ったゆえだろう。ロエベのほかでも、自身のブランドJWアンダーソン、ユニクロとのコラボレーションラインのビジュアルで双子を思わせるカットを見せている。
この多様なカルチャーや価値観を実感することは、ゆえに自己のアイデンティティーへの内省と追求が生まれるのではないか。このロエベの取り組みから服と人とそれを表現する写真手法の関係性を考えてみてほしい。
問い合わせ先:ロエベ ジャパン カスタマーサービス 03-6215-6116
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。