極彩色のビジュアル表現で見る者を楽しませる写真家・蜷川実花。世界的ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンも彼女に魅せられた一人。2009年、東京・表参道のフラッグシップショップオープンの際は、蜷川が作品を制作。そして今年6月に発表されたドリス ヴァン ノッテン2020年春夏メンズコレクションではアイテムでコラボレーションした。
世界の伝統文化をクリエーションに取り入れ、モダンな感覚で表現するドリス・ヴァン・ノッテン。彼のデザインの特長のひとつに華やかなテキスタイルがある。その生地を彩る代名詞が花。過去には華道家・東信とランウエイショーでコラボレーションしたり、ベルギーの自邸の庭に咲く花をプリントしたり、さまざまな花の衣装が発表されてきた。
2020年春夏メンズでは、蜷川の2017年の作品「New Noir 2」からセレクトした写真をプリントしたアイテムを制作。もちろん蜷川にとってもシグニチャーである花のグラフィックも採用されている。
今シーズンは、服の原型と男の原型を模索したドリス ヴァン ノッテン。野性的、冒険心、色気を感じさせ、強調されたショルダーや絞られたウエストなどいままでのドリスより男らしさを感じさせるマッチョなプロポーションの中に、蜷川のヴィヴィッドな写真が色を添える。
花やコラージュ、女性のヌードなどがコート、パンツ、パーカーなどに全面プリントされたコレクションは、夏の陽光に映えそうなことは間違いない。しかしやはりどこか蜷川らしく妖艶な表情。ドリスの色気とも混ざり合い、そこはかとなく官能が立ち上る。「Noir」はもともと光の裏の闇を映し出す“裏蜷川実花”的な立ち位置のシリーズ。眩しい華やかな表蜷川に対して、極彩色の闇を描いたもの。ドリスの描く今季の強い男性像を引き立たせている。
花を愛し、色を愛す両アーティストのコラボレーション。発売は来年だが、いまから待ち遠しいコレクションだ。
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。