ジョナサン・アンダーソンが率いるロエベは毎シーズン、コレクションを紹介する豪華なフォトブック『PUBLICATION』を制作・配布している。日本人現代アーティストのフミコイマノと3シーズンにわたりコラボレーションしたことは記憶に新しい。
クリエーションとアートが呼応するロエベが、2020年春夏メンズコレクションの『PUBLICATION』を発表。2019年秋冬シーズンに続いて2回目となるアフリカ系アメリカ人フォトグラファー、タイラー・ミッチェルがバルセロナのオリンピックパークを舞台に撮り下ろした。
カタルーニャの明るい陽光と乾いた空気の中、「遊牧民」をテーマにしたロエベのルックが佇む。アンダーソンらしいクラフツマンシップに敬意を払ったコレクションは、カフタンのようなメンズワンピースがアイコニックなアイテムだ。色、素材ともにジェンダーレスでラグジュアリーな遊牧民が存在感を示してしている。
ミッチェルは、そのロエベの世界を自身の世界と融和させ、進化させる。彼自身アフリカ系であることから、黒人を被写体にした作品を数多く制作。有色人種の濃厚な肌の色に映えるパステルやブライトなトーンを絶妙なコントラストとして配す。また、男性モデルでも女性的な官能がたなびく。その少し怪しげな危うさが持ち味だ。
彼のクリエイティヴィティとロエベ2020年春夏の世界観が融和するビジュアル。女性的な優しいピンクがメンズモデルたちと織り成す美。彫刻的な円形アクセサリーやグラディエーターサンダルを身につけた男たちは、場所と相まってギリシャ神話のホメーロスかのように神々しさも感じさせる。
ジェンダーレスなクリエーションがコアにある、ジョナサン・アンダーソンと共鳴する写真家のミッチェルは、若干24歳。主にファッション写真の世界で活躍しつつ、プライベートワークも発表している。2018年の米『ヴォーグ』9月号では、ビヨンセを被写体に、黒人の写真家初となる表紙撮影を担当するという快挙も成し遂げた。『Foam Magazine #53』ファッション写真特集では、インディペンデントキュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリヒトにインタビューされるなど、アートシーンでも注目が集まる。
『PUBLICATION』はロエベのストアで配布されているので、手にとってみてはいかがだろう。
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。