国際連合のヨーロッパ本部「パレ・デ・ナシオン」は、スイス・ジュネーブ、レマン湖畔の緑豊かなアリアナ公園の中に位置する。1938年に建てられた歴史的建物は、入り口前に国際連合に加盟する世界各国の国旗が並び、毎年約1万の国際会議が開催されてきた。「パレ・デ・ナシオン」で改築工事が行われるため、2024年までは仮設の建物「Tempus」にて国際会議などが開催されるという。そして「Tempus」の北と南側のファサードには、建物を覆うほど大きなキャンパスにプリントされた水谷吉法の代表作「Tokyo Parrots」が展示された。
これまでにも公共のスペースで写真作品を展示し、人々にアートを身近に感じてもらうユニークなプロジェクトを行ってきたCollectif 1m83 Artと国際連合が、SDGsが掲げる17番目の目標「パートナーシップで問題を達成」を体現するイメージとして「Tokyo Parrots」を選出。鳥たちが一斉に空へと飛び立つ姿や、木の枝や電線で休んだり、じゃれあったりしているようにも見える様子をとらえた色あざやかなイメージは、公園の景色に馴染みながらも多くの人々の目を引く。国際連合に多国籍な会議のために訪れる人たち、公園で思い思いに過ごす地元の人たちや旅行者が、アート作品に目を留め、何か考える機会になればという企画者の思いが込められている。