哲学者の故・梅原猛生誕100年を記念して創設された「梅原猛人類哲学賞」の第一回受賞者に志賀理江子が決定した。
「梅原猛人類哲学賞」は、梅原が提唱した西洋中心の哲学を超克する「人類哲学」の理念を受け継ぎ、既成の枠組みにとらわれず、学術および芸術領域において人間や世界の新たな地平を切り開く営為に対し贈られる賞として設立。受賞者には正賞に加え副賞100万円が贈られる。
志賀は1980年愛知県生まれ。ロンドンで学び、その後写真家として活動を重ねてきた。代表作の写真集『CANARY』で木村伊兵衛写真賞を受賞し、東日本大震災後の被災地での経験を制作の根幹に据えながら、人間社会と自然との関わりを深く掘り下げた作品群を発表してきた。その独自の視点と制作姿勢が、本賞の趣旨と合致したとして選考委員会によって受賞が決定された。1月12日までアーティゾン美術館で大規模個展を開いていた。
選考委員会には、山極壽一(総合地球環境学研究所所長/委員長)、福岡伸一(生物学者)、細川俊夫(作曲家)ら著名な学術・芸術界の審査員が名を連ねる。選考は複数段階を経て候補者を絞り込み、最終的に志賀が選出されたという。
授賞式は梅原猛が晩年過ごし、哲学的探求を続けた京都・梅原邸内の妙喜山荘で3月20日に開催され、受賞者によるスピーチや関係者による対話が予定されている。
梅原猛は戦後日本の哲学界で独自の思想を打ち立てると同時に、日本文化の深層に迫る探究を続けた人物として知られ、哲学・歴史・芸術を横断する幅広い思索と著作で影響を残した。本賞はその精神を未来へと繋ぐ新たな賞として、今後も毎年授賞が予定されている。

