ション・ロットマンは1975年、ロサンゼルス生まれ。2011年より京都を拠点に写真家、また作家として活動。彼の写真と文章は、旅雑誌『TRANSIT』に掲載されているほか、アメリカ、デンマーク、イギリス、オーストラリアなど数多くの国で活動している。
ロンドンの出版社・Bemojakeから刊行された、ロットマンの初写真集『Sunlanders』は、5年にわたって日本の各地を旅し撮影した写真群で構成されている。見慣れた日本の風景が、ロットマンの視点で切り取られ独自の暗室作業を施されることで、奇妙で幻想的なイメージとなって浮かび上がる。
ロットマンは日本を異邦人の視点でとらえ、不可思議で驚きのかたまりをそのまま写真へと置き換える。いわゆる日本のドキュメンタリーではなく、日記でも、イメージメーキングでもない。それらは存在への探求であり、見知らぬ世界へとダイブするような冒険心に満ちている。丁寧に一点一点手焼きされたプリントによって、彼自身の主観的なリアリティは、フィジカルなイメージへと変換される。
「ション・ロットマンの写真には奇妙で不思議な魅力がある。プリントの束を一枚ずつめくっていくと、死角にあるはずのものが一瞬見え隠れする。急に幻影が煙のように立ち昇る。一枚ごとに完結しているが、互いに連鎖した世界が展開する。
森山大道が旅した遠野の風景、須田一政が恐山で遭遇した光景など、日本の写真史に脈々と受け継がれてきた旅する写真家の眼差し、その記憶が幾重にも重なり合っていく。
わたしはこれらの写真を見ていて、あるダンサーの話を思い出した。私たちが生きているということは、目に見えない切り返しの連続である。生と死は、目に見えないスピードで落下していくコインのように、表と裏の姿を素早く切り返しながら共存している。再生と消滅を繰り返す時の流れの中で、生と死が切り替わる瞬間の神秘がロットマンの写真には宿っているのかもしれない。」―山口奈帆子
タイトル | 『Sunlanders』 |
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出版社 | |
価格 | £30.00 |
発行年 | 2016年 |
仕様 | ハードカバー/297mm×245mm/80ページ |
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