写真家、オリビエ・ファットンの作品集『Coco』。
トランスセクシュアル・アナキストを名乗るパフォーマンスアーティストであり、家と呼べる場所もないマッチョな女性であり、ファッションモデルであり、タブロイド紙にも付け狙われていた「ココ」、「ダナ」、「パトリシア」などと呼ばれていたイブ・クロディーヌ・ロレタンは、あまりに短いその生涯の中でさまざまな自分を演じていた。1989年11月のある日曜日に「ココ」と出会ったファットンは、この美しくも悲しげな天使に一目で心を奪われ、ベルンのゲイバーでコーヒーを飲みながら、2人はある取引をした。それは、ココがモデルになる代わりにファットンがココの性転換手術を記録するというものだった。
仕事上の関係はすぐ恋愛に発展し、ファットンはココという華やかな存在を多面的なフォトエッセイで表現し続けた。自宅やクラブ、そしてアルプスを行く旅の途中で撮られた親密なポートレイトや演出を施したファッションショットが織りなすモザイクのようなイメージには、ココがかつて「私の2番目の口になった」と言ったメランコリックな大きな瞳が絶えず写し出されている。スイス人作家のドゥニア・ミラーレスは、ココを夜の世界の文学者に他ならないと評している。ファットンの写真に添えられた、ココの伝記をベースにしたミラーレスの中編小説は、若きココの悲しみを物語る。
タイトル | 『Coco』 |
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出版社 | |
出版年 | 2019年 |
価格 | 6,400円+tax |
仕様 | ソフトカバー/190mm×250mm/264ページ |
URL | https://ja.twelve-books.com/products/coco-by-olivier-g-fatton |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。