フィンランド人アーティスト、サラ・ビアランドの作品集。
街中で見つけたゴミや素材を彫刻やインスタレーション作品に取り入れることによって、自然と人工、生きているものとそうでないものの重なりや出会いについて考察する。アムステルダムで自転車に乗っていると毎日のように通りかかる巨大なごみの山から、家具、枯れた観葉植物、プラスチックの造花、庭の置物、フェンスの切れ端、猫の爪とぎ用の柱、床用モップ、壊れたパイプ、建築資材などを拾い集める。作者は、本来の機能を失ったガラクタを、我々が生きる物質主義の社会の残り物、価値や意味を伝える重要なメッセンジャーとしてとらえている。アプロプリエーションやマニピュレーション、ときにはステージド・フォトグラフィなどの手法や戦略を使って作られる作品は、拾ってきた素材をリサイクルし、保存や手入れをする作者なりのやり方である。
この行為は、西洋社会の大量消費文化とその結果として生まれる途方もないゴミに対する静かな批判でもある。作者は自身のスタジオを、ものが集まり、花から花へと花粉が運ばれ実を結ぶように新しいものが誕生し、奇妙な植物や動物のようなハイブリッドな形や存在に成長する場と考えている。集めてきたものの中から、「自分に話しかけてくる」組み合わせを探し求める。このプロセスにおいて、直感や連想が大きな役割を担う。物体の間の関係性や、組み合わされたことによってどのような働きをするのか、という点も重要である。こうしたものたちを作者は、人間の存在しない世界に生きる「種族」やグループに分類することが多い。作者の想像の中の世界では、捨てられた素材が生命を持ち、役者やキャラクターとして生まれ変わるのである。
タイトル | 『GROUNDWORK』 |
---|---|
出版社 | |
出版年 | 2019年 |
価格 | 4,600円+tax |
仕様 | ソフトカバー/170mm×240mm/160ページ |
URL | https://ja.twelve-books.com/products/groundwork-by-sara-bjarland |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。