アメリカ人で作家、写真家、美術史家であるテジュ・コールの作品集『FERNWEH』。
まるで絵画のように美しい風景と表面上の安定性を持つ中立国・スイスは、現代写真においてとらえどころのないテーマとされてきた。本作は、2014年から2019年、5年の歳月をかけて他に類を見ない新しい見方によって、2世紀近く典型的な観光地とされてきたこの国をとらえている。
本作は「どこか別の所へ行きたいと強く願う」ことを意味するドイツ語の単語「Fernweh」への省察から生まれたもの。カラーフィルムで撮られた瞑想的で綿密に構成された作品は、この国の隠された歴史を表すとともに細やかに管理が行き届いた土地であることに気づかせる。何年もの間、繰り返しスイスを訪れ完成させた本作に見られる粘り強さと穏やかな色彩は、ヨーロッパ現代写真の主流のスタイルと共通しているが、作品の持つ構成主義的な緊張感は作者だけのものである。スイスの至るところで撮影された写真を通じて、作者は自分自身の独特なものの見方を表現するというよりも、ほとんど人がいないのに人の痕跡が豊富に残されている場所としてスイスを描き出した。
タイトル | 『FERNWEH』 |
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出版社 | |
出版年 | 2020年 |
価格 | 7,000円+tax |
仕様 | ハードカバー/210mm×310mm/220ページ |
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