井上奨之写真集『Õ』が、3月に私家版で刊行された。
本書はパリに住む作者が、一人の老紳士とともに過ごした日々を写真で綴った作品集。老紳士と彼との緩やかな間を静かに掬い上げていて、詩的に紡がれている映像からは、見るものに普遍的で慕わしい記憶を呼び起こさせる。題名のõ（オン）とは発声記号で、写真群の掴みどころはないが、連続して保たれている通奏低音を表現している。
冒頭に添えられた詩は、作者の友人であるシンガーソングライターの米山ミサ（浮 BUOY）が本作の為に執筆。物語の語り手として花を添えた。適度な緊張感を保ちながらも、柔らかで手に馴染む造本でこれら要素を纏め上げた印象深い1冊。
| タイトル | 『Õ』 |
|---|---|
| 出版社 | 私家版 |
| 出版年 | 2021年3月 |
| 価格 | 4,500円＋tax |
| 仕様 | 布張りソフトカバー／B5／変形コデックス装 |
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