05 April 2021

下岡蓮杖の作品から蘇る、幕末から明治初期にかけての日本の姿を見つめる『A carte album attributed to Shimooka Renjo, album dated 1865-1868』

05 April 2021

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A carte album attributed to Shimooka Renjo, album dated 1865-1868

日本の写真開祖の一人といわれる下岡蓮杖の未発表作品が収録された『A carte album attributed to Shimooka Renjo, album dated 1865-1868』が禅フォトギャラリー、Case Publishingから刊行される。

下岡蓮杖は1823年、伊豆下田生まれ。13歳の頃に画家を目指した下岡は、絵師として生活していく中で写真と出会い、1859年に横浜が開港した際にアメリカ人写真師ジョン・ウィルソンから写真技術を学ぶ。当初は技術面や薬剤の調合の難しさに直面し苦労するものの、1862年に開業。1864年には『横浜奇談』に写真師として唯一掲載されるなど知名度を上げていく。横山松三郎、臼井秀三郎、鈴木真一など多くの弟子を輩出した日本の写真開祖の一人として、1875年頃まで第一線で活躍。その後は東京・浅草へ移り、写場背景画の制作をする傍ら多くの日本画作品を制作し、写真とは異なる手業の制作に励んだ。

本書は下岡のポートフォリオの中では最大規模で、明治初期に一人の事業家が横浜にある下岡のアトリエを訪れ、手彩色写真を大量に購入した際の144点が収められている。シンプルに3つの真鍮製の留め具で留められた特徴的なアルバムには、写真とともに日本語で手書きされた被写体の説明文とアルバムの元の所有者による英語のキャプションが並ぶ。そこからは下田が自身のポートフォリオをどのように作成したのかを読み取れることだろう。被写体からは緊張感が漂い、当時の暮らしの様子が鮮明に写し出され、彼らはいまにも動き出しそうである。まだ写真が珍しかった時代の下岡の写真への情熱、そして人々への眼差しを見つめることのできる貴重な1冊となっている。

タイトル

『A carte album attributed to Shimooka Renjo, album dated 1865-1868』

出版社

禅フォトギャラリー、Case Publishing

出版年

2021年

価格

8,800円

仕様

ソフトカバー/335mm×240mm/24ページ(掲載作品144点)/予約特典として、限定冊子付き

URL

https://www.shashasha.co/jp/book/a-carte-album-attributed-to-shimoka-renjo-album-dated-1865-1868

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