16 June 2022

ニコラ・レニヴェツに関わる27人のインタヴュー&ピアカルロ・クエッキアによるポートレイトを収録『BACK TO NIKOLA-LENIVETS』

16 June 2022

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BACK TO NIKOLA-LENIVETS

美術家ヒデミ・ニシダと写真家ピアカルロ・クエッキアによる書籍『BACK TO NIKOLA-LENIVETS』が刊行される。

本書はB5サイズ判型ケースに、モスクワの南西200kmに存在する巨大な野外芸術公園「ニコラ・レニヴェツ」に関わる27人の日本語インタヴューと、ピアカルロ・クエッキアによる撮り下ろされた彼らのポートレイトが納められている。

この芸術公園が展開する地域は、もともと幾つかの集落からなるコルホーズ(集団農場)地帯だったが、1991年のソビエト崩壊後、この地域のコルホーズも徐々に解体され、そのほとんどの集落が消滅した。消滅した村のひとつがニコラ・レニヴェツ村。多くの旧コルホーズ集落と同様に産業を失ったニコラ・レニヴェツだったが、2000年代初頭から、ここへ移住してきた芸術家と、周囲に住む元コルホーズ労働者たちによって、巨大な野外美術作品が作られ始める。その活動は徐々に大きくなり、いまではほかに見られない巨大な芸術地帯を形成し、インディペンデントな芸術公園として地域の経済を支える重要な産業にまで発展した。

ニシダとクエッキアはこの巨大な芸術公園が、政府や巨大企業の援助を受けない、独立した活動であることに注目し、そこにどのようなバックグラウンドやストーリーがあるのか取材を試みた。そこで見えてきたのは、かつてはコルホーズの労働に従事し、いまでは美術作品の制作や公園維持を生業とする、“芸術の労働者たち”の存在。大きな時代の変化を経験してきたこの土地の労働者たちは、いま芸術を術としながら、その生活を送っている。高等美術教育の必要や、巨大なパトロンの存在はここにはない。ここには生き延びるための豊かな術として、誰にでも芸術が存在している。資本主義の限界がさけばれる昨今、ニコラ・レニヴェツの労働者たちの姿に次代の社会を作るひとつのヒントを見出せるような気がする。

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ヒデミ・ニシダ&ピアカルロ・クエッキアによるルポルタージュ展「BACK TO THE LAND – 芸術の労働者たち」

タイトル

『BACK TO NIKOLA-LENIVETS』

出版年

2022年

価格

8,580円

仕様

B5サイズ判型ケース

URL

http://kata-gallery.net/schedule/btl_tokyo-20220624

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