現在、国立東京近代美術館での展覧会を開催中の杉本博司が、ゲストエディターを務める『Aperture』の特別号が刊行された。タイトルは「Stop Time」。本号では雑誌そのものを一種の「タイムマシン」に見立て、自身の尽きることのない探究を誌面へと展開する。過去半世紀にわたり、写真というメディアを通して時間、記憶、知覚、歴史を問い続けてきた杉本ならではの視点だ。
イメージは、1637年から2050年までを横断しながら、光の本質や科学的イメージングの起源、人類絶滅の可能性、そして無常と永遠のあいだに存在する写真というメディアについて、時間軸を大胆に行き来しながら考察する。ルーシー・アイヴス、ブライアン・ディロン、ゾーイ・レスケイズ、ブラッド・ボルマン、そして杉本自身によるエッセイでは、カメラ・オブスクラの歴史やアイザック・ニュートンによる光学上の発見、環境をめぐるタイムカプセル、さらには写真の「始まり」と「終わり」までを検証。また、マン・レイが1936年に『Cahiers d’Art』で発表した「Mathematical Objects」も収録される。
『Aperture』編集長・マイケル・ファミゲッティと杉本による対談も掲載。ダニエル・シェイが、40万ボルトのヴァン・デ・グラフ起電機を備えた暗室を持つ杉本のニューヨークのスタジオを撮り下ろし、ポートレイトが表紙を飾る。さらにステファン・ドッターが、小田原の江之浦測候所を撮影。ランドスケープ、人間の知覚、宇宙的時間をめぐる杉本の思想を、また別の角度から浮かび上がらせる。
写真は時間を止めるものなのか、それとも時間を超えていくものなのか。杉本の思考を媒介に、写真の過去からまだ見ぬ未来までを一冊に封じ込めた、壮大な特別号となっている。
『Aperture No. 264: Stop Time』
ゲストエディター杉本博司
価格US $24.95
160ページ、ソフトカバー、215×269mm
https://aperture.org/
