イギリス人写真家、映像作家のクロエ・デュー・マシューズによる作品集『THAMES LOG』は、古くからある自然崇拝や多神教信仰の祭礼から現代生活に見られる儀式まで、その時々に応じて変化する人と水との関係性をテーマにした1冊。マシューズはロンドンと海を結ぶテムズ川を、水たまりのような源流から大規模な三角江を形成している河口まで何度も旅をし、誰に注目されることなくこの川と関わって生きる人々に焦点を当て、5年の歳月を費やして本作を撮影した。
流動的なアイデンティティを持つテムズ川は、オックスフォードで行われる船を燃やす儀式からサウスエンドの夕方の祈り、集団で行う洗礼式、10代の少年少女が参加する通過儀礼まで、上流から河口に至るまで途切れることなく行われている様々な儀式の主役になっている。世界の河川の中でも最も象徴的かつ詳細に記録されてきた川の1つであるにも関わらず、マシューズが撮るテムズ川は、この川自体を越えて、公私、大小様々な宗教的・非宗教的な儀式や、これらがどのようにして意味やアイデンティティを形成しているのかについて観る者に考えさせる。
本書は「Martin Parr Foundation」で2021年夏に開催される本作の展覧会開催に伴い、同財団とイギリスの出版社「LOOSE JOINTS」による共同出版として刊行された。
タイトル | 『THAMES LOG』 |
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出版社 | |
出版年 | 2021年 |
価格 | 7,150円 |
仕様 | ソフトカバー/240mm×295mm/152ページ |
URL | https://www.twelve-books.com/products/thames-log-by-chloe-dewe-mathews |