その美しい姿と色から、女性や愛情を象徴するバラ。多くのクリエイターを魅了しているが、ラグジュアリーメゾン、ディオールの創設者クリスチャン・ディオールもその一人。ロマンティックなドレスの布の造形はバラのように構築的だ。同メゾンはフランス・グランヴィルにあるクリスチャン・ディオール美術館にて10月31日(日)まで「DIOR AND ROSES」展を開催中。これを記念し、メゾンとバラの関係をとらえた同名の写真集『DIOR AND ROSES』をRizzoli New Yorkより出版した。
展示はクリスチャン・ディオールが幼少期を過ごしたノルマンディー地方グランヴィルにあるヴィラ リュンブに始まり、メゾンの歴史が詰まったパリのモンテーニュ通り30番地まで、創業から現在までへとバラとディオールの関係を紐解いていく。
ムッシュディオールが「私がデザインしたのは、花のような女性、つまり柔らかい肩、開いたデコルテ、細いウエスト、花弁のように広いスカートです」との言を残している通り、ムッシュがバラから受けた影響は大きい。ファッション史においてエポックメイキングとなった1947年のニュールックから1957年までの作品には、ローズ・フランス、ローズ・テ、ローズ・ポンポン、ローズ・ド・ダマスなどとバラの名が掲げられている。
ムッシュディオールはまた「香水はドレスの最後の仕上げのひとしずく」との言を残しており、ディオールにとって香水は重要なアイテム。こちらでもバラは重要だ。メゾンを代表する香水「ミス ディオール」は愛のように香るフレグランス。甘くフレッシュな香りは多くの女性を魅了してきた。またムッシュの妹カトリーヌ・ディオールは庭園を愛し、バラを育てていた。現在グラース地方に残る彼女のバラ園には2020年、ディオールのスキンケアアイテムのために何千本ものグランヴィルローズが植えられたという。
メゾンのクリエイティヴィティを育むバラ。イヴ・サンローランやジョン・ガリアーノ、現在のマリア・グラツィア・キウリといった歴代のアーティスティック ディレクターたちもその自然の美からインスパイアされたドレスをつくってきた。写真集『DIOR AND ROSES』にはその粋が収められている。
タイトル | 『DIOR AND ROSES』 |
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出版年 | 2021年 |
仕様 | ハードカバー/160ページ |
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