目にした景色に内包される“現象”を作品を通してとらえる、河野未彩「←左右→」展

河野未彩「←左右→」展が、10月10日（日）まで西麻布・CALM & PUNK GALLERYで開催中。

河野は、2018年の「not colored yet」で光の三原色の原理を利用し色づいた影をつくる照明装置「RGB_Light」を発表。その後、特許取得から製品化までを実現。個展と同年に京都で巡回展を開催したのち、2019年にラフォーレ ミュージアム原宿で大型展覧会「PHENOMENON : RGB」に参加、2021 年夏にはアートプロジェクト「PROJECT ATAMI」に選出され、熱海での滞在制作に取り組むなど精力的に作品発表を行ってきた。

河野の活躍は展示だけにとどまることなく、BOREDOMS / SHOCK CITYや加山雄三など全く毛色の異なるレジェンドたちへのアートワーク提供やMVディレクションを行い、ラフォーレ原宿の広告ビジュアル制作、PUMA × SLYやLululemonなどアパレルブランドとのコラボレーションなど、多彩なポートフォリオに描かれている。あらゆるジャンルを横断するその姿勢は、アートディレクターとしての領域を越えた頃から「視覚ディレクター」という肩書きを名乗り活動していることにも表れている。

本展では、これまで目にした景色に内包される「現象」を作品を通してとらえようとする。描かれる自然の木々や山々、海に広がる水平線、それらの空間にひかり輝く色彩は、今回全長3.6Mのレンチキュラー作品によって表現される。視覚の移動に合わせて変化する色彩は、まるで不変的に広がる自然界の「現象」であるとと同時に、会場にいる人間それぞれの視覚を通した内面までは共有できないことを写し出す。鑑賞するたびに変化したように感じる景色、実はそれらは静かに佇んでいて自身の視覚や内面によって変わるものなのかもしれない。