蔵真墨「香港 ひざし まなざし」展が、10月31日(日)までコミュニケーションギャラリーふげん社で開催中。
本展では、ふげん社から2021年9月に出版された写真集『香港 ひざし まなざし』収録作品より、香港で撮影されたスナップと、香港にまつわるオブジェを使って制作したフォトグラム作品の、ゼラチンシルバープリント18点が展示される。
1996年、当時学生であった蔵は、中国返還前の香港に初めて立ち寄る。その後、2012年の秋と2019年から2020年にかけての年末年始に香港に滞在し、撮影を行った。香港に滞在したのは計3回、人生の一カ月ほどの期間であり「もっと香港に縁の深い人」は多くいる、と本人は語るが、本作は日本の写真家が香港に焦点をあてることで「難しい状況を生きている人たちに遠くから寄り添うことができないか」という作家の思いに端を発するもの。
蔵は、香港島や九龍半島を歩きながら、多様な文化的背景をもつ人々が小さな土地でうまく棲み分け暮らしている香港の日常に、異邦人としての距離を保ちながら、丁寧にアプローチしていく。それは、目抜き通りを歩く若者たち、競馬に興ずる群衆、市場で働く者、公園で体操をする老人など、近年メディアにたびたび現れる民主化デモの過激なイメージとは異なる、まるで日陰にさす陽光のように穏やかなもの。「旅に出ることはその土地を知ることであり、離れた場所から自分が生まれ育った場所、生活している場所を考えることである」という蔵は、香港の撮影を通し、また世界的なパンデミックで移動の制限を余儀なくされたことで、自身の生活や未来について、思いを馳せることになる。
かつて香港の地に移り住んだ人々が、また自由を求めて他所へ移動しようとしている現在、柔軟に生きる香港人の姿をファインダー越しに見つめた蔵の写真は、先行きの見えない混迷の時代を生きる私たちに、道標のような光を与えてくれることだろう。
タイトル | 「香港 ひざし まなざし」 |
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日程 | 2021年10月7日(木)〜10月31日(日) |
会場 | コミュニケーションギャラリーふげん社(東京都) |
時間 | 12:00〜19:00(土日は〜18:00まで) |
休廊日 | 月曜 |
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