人類の長い歴史の中でこの世界はエデンの園のように男と女しかいなかったわけではない。性差とは社会で定義されているほど単純なものではなく、人の数だけセクシャリティがあり、ジェンダーがあり、この世界のすべての人たちがジェンダーにまつわる問題の当事者だ。今、私たちを取り巻く社会の意識は日々刻々と変化している。ここに紹介した写真家たちはそうした流動的な時代に生きて、目の前の被写体に真摯に向き合い、新しい価値を提示する。この一冊を読んだ後のあなたの中にはどんな変化が起きるだろうか。
PRICE:3,300円(税込)
Contents
流動するジェンダーの時代
Laurence Philomene ローランス・フィロメン
Paul Mpagi Sepuya ポール・ムパギ・セプヤ
Sara Cwynar サラ・スウィナー
Pacifico Silano パシフィコ・シラーノ
Pixy Liao ピクシー・リャオ
Justine Kurland ジャスティーン・カーランド
Luo Yang ロ・ヤン
INTERVIEW_1 ローランス・フィロメン
「第二の思春期」を描くセルフポートレイト
インタヴュー・文=IMA
INTERVIEW_2 ポール・ムパギ・セプヤ
鏡、ヌード、ベルベット、レイヤー化するイメージの向こう側
インタヴュー・文=八巻由利子
ESSAY_1
ジェンダー:アイデンティティをめぐる冒険
文=ジョアナ・クレスウェル
ESSAY_2
図像(イメージ)をめぐるメディアと社会に根付くジェンダーの権力構造
文=鈴木みのり
I(私)の現在――ジェンダーと日本の若手写真家たち
堀井ヒロツグ/浦芝眞史/中野泰輔/寺田健人/川崎 祐/本吉映理/阪東美音
文=高橋朗
インターネットで最もガーリーな美学「エンジェルコア」をかたち作るアーティストたち
ジュノ・カリプソ/アシュリー・アーミテージ/アルヴィダ・バイストロム/ロシェル・ブロック
文=ジョアナ・クレスウェル
求められる革新的な想像力:南アフリカの女性写真家たちとジェンダー、1990年から現在へ
ジョディ・ビーバー/ジーン・ブルンドリット/ザネレ・ムホリ/ガブリエル・ゴライアス/リー=アン・オルワジ/レボハング・ハンイェ/プンジーレ・ケニーレ
文=ブロンウィン・ロウ=フィルエン
生まれ持つ条件――韓国フェミニズム写真のいま
パク・ヨンスク/キム・ジンヒ/イ・ミンジ/ファン・イェジ/パク・ウイリョン
文=ソン・ヒョンジョン
長島有里枝――フェミニズムの視点からその先へ
インタヴュー・文=村上由鶴
20 Photobooks Around Gender
ラセット・レダーマン/ミヤギフトシ/須々田美和/ブルーノ・ケシェル
写真集とともにたどるLGBTQ写真史
文=八巻由利子
Peter Hujar ピーター・ヒュージャー
愛する人たちに向けた深遠なまなざし
文=阿久根佐和子
Roni Horn ロニ・ホーン
水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
インタヴュー=石野郁和
GUCCI GARDEN ARCHETYPES グッチの哲学と美学を探す旅へ
2021年度「ロレックス賞」受賞者が決定。地球環境を守る革新的なプロジェクトを顕彰。
IMA PHOTOBOOKS Back Issues
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特別付録postcard
Sara Cwynar
Tracy
Selected Articles
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流動するジェンダーの時代
多様化するジェンダーを取り巻く状況の中で、写真家たちの表現はさまざまな視点を与えてくれる。特集では、ローランス・フィロメン、ポール・ムパギ・セプヤ、サラ・スウィナー、パシフィコ・シラーノ、ピクシー・リャオなど、新鋭の写真家7人をフューチャー。
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20 Photobooks Around Gender
ラセット・レダーマン、ミヤギフトシ、須々田美和、ブルーノ・ケシェル。ユニークな視点をもつ4人の選者が、ジェンダーにまつわるテーマで5冊ずつ写真集をセレクト。日本人女性による戦後の写真集から、ミレニアルズたちが自身のアイデンティティや社会へのメッセージを込めたZINEまで、時代を超えて浮かび上がる多種多様な表現からジェンダーのあり方を考える。
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ピーター・ヒュージャー:愛する人たちに向けた深遠なまなざし
スーザン・ソンタグに「人生の肖像は、死の肖像でもあると知っている」と評された、1970~80年代、ニューヨークのカルチャーシーンに愛された写真家ピーター・ヒュージャー。ヒュージャーの前で心を許し、思い思いのポーズを取る被写体たち。彼らのすべてを受け止める写真家は、どんな人物だったのか? 短くも濃い人生に迫る。
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ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
箱根のポーラ美術館で、日本国内での美術館初個展を開催中のロニ・ホーンへのインタビューが実現した。ロサンゼルス在住の写真家・石野郁和が聞き手となり、主な出品作を通して彼女の思考回路に迫ることで、類いまれなるその作品の扉が開かれる。