毎月IMAが開催するオンライン写真コンテスト「IMA next」では、毎回異なるテーマを掲げ、写真家やキュレーター、編集者などがゲスト審査員となり優れた作品を選出。3月20日(日)まで応募受付中のコンテストのテーマは「TOUCH」。スウェーデン人フォトグラファーのリナ・シェイニウスに、自身の制作や今回のテーマ「TOUCH」について質問してみた。
© Lina Scheynius
Q. あなたの写真に写る肌や植物、果物などを観ると、視覚のみならず触覚までも反応します。応募者の方たちには、今回のテーマ「TOUCH」をどのように解釈してほしいと思っていますか。また、どのような写真を期待していますか。
A. 想像を超えるような斬新な解釈で私をびっくりさせて欲しいです!触感を想起させるイメージは本当にたくさんあって、それぞれ方法はさまざまです。人と人が距離を取らざるをえなかった時期が長引いていた中で、前の生活に戻ったとき、どうお互いと触れあうべきか考えるためにも、このテーマはいまとても大事だと思います。
Q. 最近JBE BOOKSから刊行した写真集『Touching』のタイトルに込めた思いはありますか。また、今回初めて言葉も用いることにした理由を教えていただけますか。
A. このシリーズは時間をかけて制作したもので、出来上がるまでタイトル案がいくつかあったのですが、最終的にはそのシンプルさから『Touching』を選びました。この作品は、銅像との触れ合いの遊びなんです。私の身体と銅像を二重露光させることで、フレームの中のどこかで接触させる。どこかはわからないけれど、絶対に互いに触れていることはわかります。
© Lina Scheynius
本の中で自分でテキストを書くのも初めてでした。少し難しくて、不安だったのですが、最終的には既にレイヤーが重なっているイメージに、更に一層加えられてよかったです。多くの発見を含んだ1冊ですね。
Q. これまでに多くの写真集を出版されていますが、作品を本としてまとめるにあたって大事にしていることがあれば教えてください。
A. 多分一番は、何かを感じ取れるか、です。興奮と冒険と好奇心の感覚ですね。そこに繋がる何かがあれば、どんなプロジェクトでも良い方向に行っているとわかります。
あとは、本を作っているときに手で作業をする方が好きです。プリントした写真を使って組み合わせて遊んで、PCでレイアウトする前に壁に並べたりします。
© Lina Scheynius
Q. あなたにとっての日常と非日常の違いはありますか。ある場合、どんなときにそれを実感しますか。
A. 違いはありますが、その認識はどう物事を見るかによって、瞬間的に変わります。同じものを、深呼吸して、目を閉じて、見直すだけでも違ったりします。
Q. 親密なポートレイトを撮影する際に気をつけていることとは。元モデルとして撮られる側だった経験は、写真家としての活動にいかされていますか。
A. もちろんです。モデルをしていたとき、私自身が声のないモノとして扱われていると感じることが多かったので、いまはモデルが心地よくいられるようにとても気をつけています。そして、写真を始めたときの私の撮り方は、当時のファッション写真の洗練された雰囲気に対するある種の反抗だったんだと感じています。
Q. 新人作家へのアドバイスをお願いします。
A. Take your time. Do not rush. Play and explore and find what makes you curious.
ゆっくり、焦らず、時間をかけてください。遊んだり、冒険したりして、あなたの好奇心を奮い立たせる何かを見つけましょう。
思わず触れたくなるような写真。それは人の肌やパーツ、果実、自然など、みずみずしい被写体を通して、イメージから何らかの感覚を触発したり、繊細なディテールから美しさを呼び覚まします。あるいは人との触れ合いを感化するようなイメージも可能でしょう。クローズアップで表面をなぞることはもちろん、写す被写体との関係性を考えながら、「触れる」をテーマに写真を生み出してください。
IMA next第30回、リナ・シェイニウスが審査する「TOUCH」へのご応募お待ちしています!
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応募期間 | 2022年1月20日(木)〜3月20日(日) |
応募料金 | 2,000円/1エントリー |
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リナ・シェイニウス|Lina Scheynius
1981年スウェーデン生まれ。ロンドン在住。ヌード、スティルライフ、パーソナルなセルフポートレートなど素晴らしいイメージを随時制作し、生々しいセクシュアリティと裸体が主に見られる作品のほとんどはシェイニウスの友人、恋人と彼女自身を写す。彼女の日記の一ページのように、親密なやりとりが交わされる静寂のひとときと外の世界からは隠された美が写真として捉えられている。近年の主な個展に「BODY」Galerie Tanja Wagner (ベルリン、2019)、Unseen 2018(アムステルダム、2018)、「Exhibition 04」 Christophe Guye Galerie(チューリッヒ、2017)「Exhibition 03」Taka Ishii Gallery(東京、2014)。