新作含む約50点を展示、
うつゆみこ写真展「I Call Nature, Nature Calls Me.」

うつゆみこ写真展「I Call Nature, Nature Calls Me.」が、10月9日（日）までコミュニケーションギャラリーふげん社にて開催中。

うつは、1978年東京生まれの写真家。ガーリーフォトブームの最中に写真を始め、日本芸術学部写真学科を志望したが記念受験した早稲田大学に合格し、家族の勧めで入学。2001年に早稲田大学を中退し、東京写真学園写真の学校を修了。2006年には、第26回写真「ひとつぼ展」（現在の「1_WALL」）グランプリを受賞し、翌年開催されたグランプリ個展では、1,000枚のプリントを展示し、その量でも来場者を圧倒した。

うつの作品は、自らが愛する動物や昆虫、植物、ヒトなどの有機物と、オブジェやフィギュア、図版などを組み合わせて画面構成し撮影した、完成度の高いシュールな作品で知られている。現在まで展覧会の開催、ZINEの制作を精力的に続け、その作品のエネルギーは類を見ない。

本展では、新作含む約50点を展示。本展で展示される新作は、生きている動物を用いて撮影された。うつは、被写体である動物たちへのリスペクトをもち、対等にやりとりをして撮影しているため、たとえ死んでいる動物に対しても、接着剤などは一切使えないという。また二児の母でもあるうつは、子どもがいなかったときと比べ、自分の思い通りに時間が取れず、どうしても作品制作には妥協が伴うという。今回被写体に用いられ生きた動物も、自分の意思とは異なる予想外の動きをする。作家の思い描く画面構成から「ズレ」が生じることで、これまでにない揺らぎをもたらし、生命の匂い立つオーラがその空間に漂う。

自分の思い通りにならないものの存在を否定せず、自分の内部へと取り込もうとすることで、さらに自由自在で闊達な表現を手に入れた、うつのあたらしい世界をぜひ観てみては。