苅部太郎「Electric Caveman」展が、9月22日(金)から渋谷・HECTAREで開催される。
苅部は、AIを搭載したソフトを用いて、風景写真の自動認識システムを騙し、何億枚と学習したAIを混乱させる事で奇妙な遠近感や色彩を持つイメージを生成させる。歪みや崩れかかったような不安定なイメージと、沁み入るように沈着した色彩が美しくも魅惑的に混在している。
写真は発明されたとき「記憶を持った鏡」と称された。文明や技術の進化に伴い、現代では 我々人間の記憶や記録は物質ではなく、データとして保存することが当たり前になってきている。つまり外部記憶装置として、デジタル機器は人間の脳の一部になっていると考えられる。AIのシステムもまた、人々の生活の中に侵食してきており、必要不可欠な存在になりつつある。現代の最前衛であるAIを駆使して表現する苅部の写真は、「人間とデジタルの境目を映した鏡」なのではないだろうか。そして“何か得体の知れないもの”に侵食されているようなその光景には、畏怖の念を抱かざるを得ない。
また、このAIを搭載したソフトは常にアップデートされ、精度が上がり続けている。それによって「徐々にAIのエゴやバイアスが強くなってきている」と苅部はいう。ラディカルに発展しているデジタルテクノロジーの中で、その時代の最新の技術を用い、認知心理学や古代哲学を組み込む苅部の作品群は、我々に未だかつてない新たな視点を与えてくれる。
また本展では、最新作品集『あの海に見える岩に、弓を射よ』も併せて発表、発売される。
タイトル | 「Electric Caveman」 |
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会期 | 2023年9月22日(金)~10月14日(土) |
会場 | HECTARE(東京都) |
時間 | 13:00~19:00 |
定休日 | 月火曜 |
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