東京・井の頭のbook obscuraで山西ももの写真展「光の王国 The Light/Mustang」が開催されている。山西の写真集『光の王国』の出版に合わせたもの。
山西は東京藝術大学で金属の鋳造を学び、山岳部に所属し、キリマンジャロやK2などの山々を訪れてきた・ヒマラヤの山岳地帯をトレッキング中に、割れた石の中からアンモナイトの化石を発見。標高5000mのこの地がかつて海であったことを実感した。長い時間をかけて大地の形が変わるように、光もまた絶え間なく降り注ぎ、風景を刻み続ける。山西は、この「時間」と「光」が織りなす関係に強く惹かれ、過去から現在へと続く世界の記憶を探るようになった。
本作の制作は、かつて王朝が存在したムスタンの地で、拾い集めた素材から自作したピンホールカメラによって始まった。鋳造において金属が鋳型に流し込まれることで形を得るように、光もまたカメラの小さな穴を通り、時間とともに像を結ぶ。山西はこのプロセスを通じて、触れることのできない光や時間を定着させていく。
ピンホールカメラが捉えた像は、柔らかな光をにじませながらも世界の輪郭をフィルムに焼き付ける。それはかつて海であり、かつて王朝であったこの地の記憶を静かに刻み続ける。
タイトル | 山西もも 「光の王国 The Light/Mustang」 |
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場所 | book obscura(三鷹市井の頭4-21-5 #103) |
会期 | 3月13日(木)〜3月31日(月)
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時間 | 12:00〜19:00 |
休館日 | 火・水曜日 |
料金 | 無料 |
URL | https://bookobscura.com/ |