1 May 2025

沢渡朔×北村信彦対談「女性を撮るモチベーションは落ちない」新作ヌード写真展開催中

1 May 2025

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沢渡朔×北村信彦対談「女性を撮るモチベーションは落ちない」新作ヌード写真展開催中 | _MG_0949

沢渡朔の写真展「AWA no HIBI」がアキオナガサワギャラリー青山で開催中だ。昼下がりの午後、自宅で過ごす一人の女性をテーマに撮られた最新作だ。モノクロで綴られるそれは泡のようにどこか非現実的であり官能的。同名の写真集としてまとめられ、さらに今回はヒステリックグラマー渋谷店でも同じテーマで展覧会を同時開催。沢渡とヒステリックグラマーを率いるデザイナーの北村信彦は30年来の友人というが、その旧知の2人に写真について聞いた。

撮影=竹澤航基
取材・文=IMA

ーーヒステリックグラマーは以前、写真集の出版やギャラリー運営をしていらっしゃいました。森山大道さん、荒木経惟さん、深瀬昌久さんなど日本を代表する作家の写真集を発刊し、現在では古書市場で高値で取り引きされています。同時に、北村さんご自身もアートコレクターであり、沢渡さんのプリントも持っていらっしゃるとか。

北村:個人的に沢渡さんの作品のコレクターで、唯一、家に飾っている日本人写真家です。ドイツのヘビーメタルバンド「スコーピオンズ」のアルバム『狂熱の蠍団 ヴァージン・キラー』のジャケット写真と対にして沢渡さんの『少女アリス』を飾っています。それがぴったりなんですよ。元々私はロックが好きで、レコードジャケットに興味を持ち、写真が好きになりました。サブカルから入ったんです。沢渡さんもレコードジャケットの撮影や寺山修司さんとの関わりから、私の中ではサブカルの延長線上にいました。

ーーヒステリックグラマーで沢渡さんの写真集を2冊出版していますね。

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北村:森山さんとのシリーズ、通称「青大道」「赤大道」「大阪」の3冊を出した後です。

沢渡:女性をテーマにした2冊を出させていただきました。ヒステリックグラマーの写真集は判型が大きく、厚みもあるので僕の写真は難しいかもなあと思いながら作りました(笑)。森山さんの作品には合う大きさだけど、女性のヌード写真は成り立つのか不安がありました。北村さん、気に入らなかったでしょ?

北村:いやいや、そんなことないですよ(笑)。沢渡朔健在!でした。こういうたとえは失礼かもしれませんが、どのジャンルにも代表するスターがいますよね。ロックだったらビートルズやローリングストーンズ。パンクだったらセックスピストルズやクラッシュ。日本の写真界では沢渡さんや森山さん、荒木さんがそのような存在なんです。

沢渡:いやあ、彼らはメジャーですけど、僕はマイナーですよ。

ーー「AWA no HIBI」というタイトルはボリス・ヴィアンの小説『日々の泡』を想起させますが、関係はあるのでしょうか?

沢渡:直接の関係はありません。“日々の泡”という言葉が昔から好きで、ヴィアンの『日々の泡』が僕の本棚にあるのを見つけたんです。そして30代のことを思い出しました。撮影のきっかけではあるんですが、この小説を写真にしようとしたわけではないんです。

北村:でも『日々の泡』を思わせるのは、ある意味大成功ですよね。私はこのタイトルを見た時、音が鳴った感じがしたんですよ。写真は、作家それぞれに違う音がするんです。森山さんは森山さんの音があります。荒木さんは逆に音がしない。これは被写体の違いかもしれませんね。

沢渡さんがすごいのは、ずっと変わらず女性のヌードを撮り続けていることだと思います。森山さん、荒木さんは日本のアート写真の系譜にあって、森山さんは財団を創設し、荒木さんは現代アートに近くなっている印象なんですが、沢渡さんは変わらず女の裸を撮っている!これはもう愛すべき”大変態”です(笑)。

沢渡:それしか撮れないからね(笑)。

ーー女性を撮るという沢渡さんのモチベーションは、ずっと変わらないのでしょうか?

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沢渡:それがなくなったら撮れませんからね。

北村:沢渡さんは自費出版でも女性のヌード作品をつくっていました。10年程前にZINEをいただいたことがあります。高齢になると枯れた風景など、自分の老いを反映したような作品をつくるアーティストが多いですが、沢渡さんは85歳になっても変わりません。

沢渡:撮る女性たちとは縁があるんです。今回、被写体になった渡辺万美(わたなべ・ばんび)は以前からの知り合いでしたが、彼女はヒステリックグラマーのファンでもあります。そんな縁があります。

次に撮る女性も決まっています。1回お断りしたんですが、先日のヒステリックグラマー渋谷店でのレセプションで再会して、作品作りをすることになりました。なんかそういうタイミングがあるんですね。

AWA no HIBI

AWA no HIBI

AWA no HIBI

AWA no HIBI

AWA no HIBI

AWA no HIBI

北村:「AWA no HIBI」は、万美が金髪だったからこういう作品に仕上がっているんですよ。もし黒や青など他の色だったら、こんなポーズやカットにはならないでしょう。

沢渡:万美に会ったとき、フレンチボブのヘアスタイルがすごく素敵でした。その思いから撮影に入ったからとてもスムーズに撮れたんです。やっぱり髪型は撮影に影響しますね、長い、短い、カッコいいとか。

ーー沢渡さんに撮りたいと思わせる女性はどんな方なんですか?

沢渡:よく聞かれるんですが、タイミングですね。別にイメージがあるわけじゃない。強いて言えばお互いの覚悟が合うか。カメラの前で何でもさらけ出してくれるという覚悟です。深いところで気持ちが通じ合って撮影しないと良い作品になりません。撮影の時は目の前の女性が世界で一番美しいと確信して撮っていますから。

タイトル

AWA no HIBI

場所

アキオナガサワギャラリー青山(東京都港区南青山5-12-3 Noirビル2F)
ヒステリックグラマー渋谷店(東京都渋谷区神宮前6-23-2)

会期

アキオナガサワギャラリー青山/4月10日(木)~5月24日(土)
ヒステリックグラマー渋谷店/4月12日(土)〜5月11日(日)

時間

アキオナガサワギャラリー青山/11:00~13:00、14:00~19:00
ヒステリックグラマー渋谷店/11:00~20:00

休館日

アキオナガサワギャラリー青山/日〜水曜日・祝日、4月27日〜5月6日
ヒステリックグラマー渋谷店/無し

料金

無料

URL

https://www.akionagasawa.com/jp/exhibition/awa-no-hibi/
https://www.hystericglamour.jp/news/release/18310/

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