待ちに待ったゴールデンウィークが到来。過ごしやすい気候に加え、天気も良好な今年の連休は外へ出かけたいという方も多いはず。IMA ONLINEでは「ゴールデンウィークに見るべき展示」と題し、全国各地の注目の展覧会をまとめた。今年のゴールデンウィークは展示を理由にお出かけしてみてはいかが?
ユーモラスで批評的!エルヴィン・ヴルムの彫刻を観に青森へ
「エルヴィン・ヴルム 人のかたち」メインビジュアル
石膏や金属といった伝統的な彫刻の素材だけでなく、写真や衣服、絵画といった多様なメディウムを用いて、彫刻表現の特性を探究し、その固定化された概念を拡張してきたオーストリアの作家エルヴィン・ヴルムの個展が青森の十和田市現代美術館で開催中だ。
彫刻の最も原初的なモチーフである人の身体を起点に、時間、量塊と表面、具象と抽象を巡るヴルムの作品を紹介する。衣服や家具といった身の回りの物質や、言葉の記号的な意味、あるいは社会のイデオロギーといった様々な要素に影響を受ける「人のかたち」の輪郭を軸に、時に面白おかしく、時に批評的に、社会に存在する規範・制度・権力の構造を炙り出す。
2024年の最新作である大型インスタレーション《学校》や、「皮膚」シリーズ、「平らな彫刻」シリーズなど、日本で初公開のとなる数々の作品に注目したい。
タイトル | エルヴィン・ヴルム 人のかたち |
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場所 | 十和田市現代美術館(青森県十和田市西二番町10-9) |
会期 | 4月12日(土)~11月16日(日) |
時間 | 9:00〜17:00(最終入館16:30) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) |
料金 | 一般1800円(常設展含む) |
URL |
若木信吾が30年続けてきたシリーズ
新宿のギャラリーRollで写真家の若木信吾とニューヨーク在住のアーティスト・マイク・ミンによる共作展が5月18日まで開催中だ。
1990年代より2人が定期的に制作を続けてきた“Let’s go for a drive”シリーズは、若木が撮った写真(印画紙)の上にミンが直接ペインティングを施すという共作で、アメリカ縦断の旅を皮切りに、これまでに世界中の様々な場所で制作されてきた。若木は東京、ミンはニューヨークに拠点を置く中で、二人が同じ場所に一緒に訪れた時にしか制作しないという制約の中、30年も続いてきたシリーズだ。
2年ぶりの発表となる本展では、2023年に神奈川の七里ヶ浜で撮影し制作した作品を展示、販売する。
タイトル | Shingo Wakagi + Mike Ming “Let’s go for a drive – Shichirigahama” |
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場所 | Roll(東京都新宿区揚場町2-12 セントラルコーポラス No.105) |
会期 | 4月24日(木)~5月18日(日) |
時間 | 13:00~19:00 |
休館日 | 月曜 |
料金 | 無料 |
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知覚、空間、写真の関係とは_新進気鋭ウー・ユモの個展がKG +で
日本最大級の写真の祭典、KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭が5月11日まで開催中だ。そのサテライトイベント「KG+」の展示のひとつとしてモンゴル生まれの作家ウー・ユモによる個展「不確かな部屋(Room without a Clear View)」が開催されている。
現在は中国、北京とドイツ、デュッセルドルフを拠点に活動しているユモは、カメラを自身の身体の器官のひとつとして用い感覚そのものを表現の手法として取り入れることで、現実とは少しずれた「もうひとつの現実」をとらえる作品を制作している。
ガラス窓がなく、半透明の障子越しにだけ外からの光が差し込む和室のような空間に展示されるのは、実際の映像とそこから生成されたイメージがいくつか重なり合って構成されている部屋シリーズと、つかみきれない雲のかたち、撮影時の手の震え、デジタル上のブレやズレなど、複数の動的要素が交錯する中で生まれている雲シリーズだ。展覧会名にもある「不確かさ」とは、単に視界が曖昧になることだけではなく、物事の意味がすぐには掴めない、理解の揺らぎや知覚のあわいを含んでおり、「不確かさ」の中に息づく知覚、空間、写真という要素の複雑な相互関係を探求する展示となっている。
タイトル | 「武 雨墨丨不確かな部屋(Room without a Clear View)」 |
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会期 | 2025年4月12日(土)〜5月11日(日) |
会場 | THE SHOPHOUSE|KYOTO 27(京都府京都市左京区鹿ヶ谷桜谷町6-5) |
時間 | 10:00~17:00 |
定休日 | 月〜木曜日 |
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詩と音と映像が交錯する唯一無二のアート体験
アーティスト、詩人であり世界的な文化アイコンでもあるパティ・スミスと、ベルリンを拠点に活動する現代音響芸術コレクティヴ、サウンドウォーク・コレクティヴによる展覧会「サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス」が、東京都現代美術館で6月29日まで開催されている。
10年以上にわたり対話を重ねてきたスミスとサウンドウォーク・コレクティヴによる協働の集大成とも言える本展で展示されるのは、さまざまな土地でフィールドレコーディングされた「音の記憶」とスミスの書き下ろしの詩、そしてそれらを拡張する映像で構成されたインスタレーション作品だ。チェルノブイリ原発事故や森林火災、動物の大量絶滅といったテーマを探求するとともに、アンドレイ・タルコフスキー、ジャン=リュック・ゴダール、ピョートル・クロポトキンといった芸術家や革命家を参照しながら、人間と自然の関係やアーティストの役割、人間の本質について問いかける。
複数のスクリーンに投影される映像や、映像同士の対話など、展示内のほかのインスタレーションと相互作用を生む展示方法で、鑑賞者を約2時間の没入体験へ誘う。
タイトル | MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ&パティ・スミス|コレスポンデンス |
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会場 | 東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1) |
会期 | 2025年4月26日(土)〜6月29日(日) |
時間 | 10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜日(5月5日は開館)、5月7日(水) |
料金 | 一般1,800円 |
URL | https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOTPlus-correspondences/ |
大阪・関西万博の見どころはカルティエがコラボしたウーマンズパビリオン
ついに開幕した大阪・関西万博。ここにももちろんゴールデンウィークを利用して観に行きたい展示が数多くある。その中でも、内閣府、経済産業省、2025年日本国愛博覧会協会と共同でカルティエが出展している「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」は見逃せない展示のひとつだ。
女性の役割に焦点を当てたウーマンズ パビリオンは「ともに生き、ともに輝く未来へ」をコンセプトに女性のポテンシャルを称える展示が開催される。幾何学模様が連なり開放感あふれるファサードは建築家・永山祐子が設計。木工技術の組子から着想を得たものだ。
パビリオンは2フロア。イマーシブな体験を1階で行い、2階では吹き抜けが印象的なガーデンが迎えてくれる。キュレーションはエズ・デブリンが担当。万博を「ユニークな楽器コレクション」と捉え、「各パビリオンがさまざまな楽器として、世界という舞台で6ヶ月にわたりメッセージを発信する場」を表現した。
IMA読者は1階から2階に向かう階段に展示された、千葉尋による独自開発の葉に写真を焼き付ける「クロログラフ」による作品も要チェックだ。
タイトル | ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier |
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場所 | 大阪・関西万博 東ゲート側 日本館の隣 |
会期 | 4月13日(日)~10月13日(月) |
時間 | 9:00〜21:00 |
休館日 | 無し |
料金 | EXPO2025デジタルチケット:https://www.expo2025.or.jp/tickets-index/price/ |
URL |
詩、テーブル、ベンチ…複合的に写真を追求する一之瀬ちひろ展
©一之瀬ちひろ
東京・馬喰町のkanzan galleryで一之瀬ちひろの個展「Hello, darkness この身体のいるべき場所はどこ」が5月25日まで開催中だ。
一之瀬にとって約4年ぶりとなる今回の個展は、仕事で訪れた福島県の大熊町と双葉町で感じたことをもとに制作された新作「Hello, darkness」を中心に、イメージに関するテキスト、印刷物、プリントの束、電飾、テーブル、ベンチ、そしてパフォーマンスを組み合わせた複合的な体験の場になっている。
間隔を持って置かれている作品は、ある大きな問題意識のもと配置されたものだが、その中には小さなテーマがいくつも内包される。鑑賞者が複数のテーマの重なり合いや、響き合いや、余白に耳を澄ませることができる展示となっている。
タイトル | kanzan Curatorial Exchange 「Spacing」vol.1 |
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会場 | kanzangallery(東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F) |
会期 | 4月12日(土)~5月25日(日) |
時間 | 12:00~19:00(日曜日は17:00まで) |
休館日 | 月・火曜日 |
料金 | 無し |
URL |