東京・麹町の東條會館写真研究所にて10月31日より井上佐由紀の写真展「はじまりと終わりに見る色を、私は知らない」が開催される。
井上は、「おそれ(恐れ、畏れ、怖れ)」をテーマに、それを見たい・知りたいという思いから繰り返し撮影してきた。今回の新作では、生と死の世界への「おそれ」から、赤という「色」に焦点を当て、作品を展開している。
色というものは不確かで、隣にいる人でも同じものを見ていると言えない。現代ではスクリーン越しの光のなかで、色の地域性、文化性を曖昧にしながら消費されている。井上の作品を通して、「見ること」「色を感じること」に向き合う展示となる。
【ステイトメント】
幼い頃、人気のない田畑や墓地で見かけることが多かったせいだろうか、彼岸花が咲く場所がとても寂しく、怖くて仕方がなかった。
成長するにつれて、その根には毒があること、お彼岸の頃に咲くから彼岸花と名付けられたことを知り、私の中では不吉なことを連想する花になっていった。
いつ誰から聞いたのか覚えていないが、人が生まれて初めて認識出来る色が赤で、亡くなる直前に認識出来る色も赤だと聞いた時、思い浮べたのが彼岸花だった。そして、怖いと思っているその花を撮影しようと思った。
合わせ鏡や万華鏡を前にすると、自分がどこにいるかがわからないという感覚がある。永遠に続くリピートの中にいると、自分は長い時間の中の一瞬しか生きられないという事実がまざまざと迫ってくる。
生まれた時に見たかもしれない赤い色を私は覚えていない。いつかくる最期に、私は赤い色を見るだろうか。
| タイトル | はじまりと終わりに見る色を、私は知らない |
|---|---|
| 場所 | 東條會館写真研究所(東京都千代田区麹町1-6-12) |
| 会期 | 10月31日(金)~12月21日(日) |
| 時間 | 13:00~19:00 |
| 休み | 月~木曜日(祝日オープン) |
| 料金 | 無料 |
| URL | https://photo-lab.tojo.co.jp/ |

