片山真理の個展「tree of life」が、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryにて5月16日まで開催されている。本展は同ギャラリーのこけら落としとして企画され、英国ヴィクトリア&アルバート博物館に収蔵された同名シリーズを含む新作群が日本で初公開されている。
片山は自身の身体を中心的なモチーフに据え、手縫いの布オブジェ、写真、映像など複数のメディアを横断して制作を行ってきた。自伝的要素を持ちながらも、社会が個人に付与する役割や規範、他者との境界を問い直すその実践は、個と社会の関係を鋭く照射するものとして評価されている。先日は森アートアワード2026のグランプリを受賞した。
本作《tree of life》は、鏡張りの空間の中で作家自身を被写体として撮影した写真シリーズで構成される。手縫いのオブジェに囲まれた身体は鏡面に反射し、像は実体と虚像の区別を失いながら増殖する。天と地、内と外、自己と他者といった対立的な概念は曖昧化され、イメージは無限に更新され続けるプロセスとして提示される。
本作には、デジタルイメージの可塑性や複製性への関心が強く反映されている一方で、撮影は中判フィルムカメラによる一度のシャッターで行われ、多重露光やデジタル加工は用いられていない。鏡の反射によって生まれる像の増殖は、身体と空間のレベルで構築され、虚構性と物質性のあいだに緊張関係を生み出す。
また、撮影はすべて作家自身によって行われ、「撮る/撮られる」という関係に内在する権力構造にも自覚的である。客体化された身体は自己からも切り離され、社会的・身体的・感情的な現実が交差する場として現れる。そこに浮かび上がるのは、所有されない身体、すなわち公共性を帯びた存在としての身体だ。
増殖する鏡像の中で揺らぐ身体は、自己と他者、個人と社会の境界を問い続ける。同時に、木の根や枝、血管のように連なり循環するイメージは、生命の連続性を象徴するものとして立ち現れる。本展は、身体をめぐる問いを更新し続けてきた片山の実践の現在地を示す機会となるだろう。
| タイトル | tree of life |
|---|---|
| 場所 | Yutaka Kikutake Gallery(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル 2F) |
| 会期 | 3月19日(木)~5月16日(土) |
| 時間 | 12:00~19:00 |
| 休み | 日・月曜日、祝日 |
| 料金 | 無料 |
| URL | https://www.yutakakikutakegallery.com/ja/exhibitions/tree-of-life/ |
