13 May 2026

家族アルバムは誰の記憶になるのか?奥山由之「photographs」展開催

13 May 2026

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東京・六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルムにて、奥山由之の個展「photographs」が5月15日から開催される。本展では、作家の家族アルバムをもとに制作された同名シリーズから約28点が発表される。

本作の出発点となったのは、かつて祖父母や父が暮らし、現在は奥山自身がアトリエとして使用している邸宅で発見された100冊を超える家族アルバム。ページをめくる行為を通じて、奥山は生命の継承や家族という共同体の構造、さらにそこに潜む倫理的規範について思索を深めていったという。

写真に写る人々は、家族という役割の中で記録されている。しかし奥山が注目するのは、その役割が与えられる以前の「個」としての存在だ。本シリーズでは、アルバム写真に写る人物の輪郭や顔貌が、光によってゆるやかに溶かされていく。イメージは特定の個人を指し示すことをやめ、「誰か」の記憶であったものが、見る者それぞれの記憶へと開かれていく。

奥山はこれまでも、具象と抽象、記録と感覚といった相反する要素の交差をテーマに制作を続けてきた。『windows』や『flowers』などのシリーズでは、写真を単なる視覚的記録ではなく、感情や時間の揺らぎを内包した存在として扱っている。本展でもその姿勢は継承されており、写真は家族の記録であると同時に、記憶そのものの不確かさを可視化する媒体として機能する。

重要なのは、本作がノスタルジアへと単純に回収されない点にある。そこには、家族という制度に内在する規範と、個人の自由や選択とのあいだに横たわる緊張感が存在している。継承されるものへの敬意と、その枠組みから解放されようとする感覚。その両義性が、光に溶けていく像の中に静かに刻まれる。

本展にあわせ、同名写真集『photographs』(赤々舎刊)も刊行される。

タイトル

奥山由之「photographs」

場所

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルム(東京都港区六本木5-17-1 AXISビル2F)

会期

5月15日(金)~6月13日(土)

時間

12:00~19:00

休み

日・月曜日、祝日

料金

無し

URL

https://www.takaishiigallery.com/en/archives/43193/ 

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