12 September 2026

ジル サンダー26AWキャンペーン、モニ・ホーワースが撮影した何かが始まる滑走路

12 September 2026

Share

JIL SANDER_26FW Campaign_HERO_2

ジル サンダーが2026年秋冬キャンペーンを発表した。シモーネ・ベロッティによるクリエイティブ・ディレクションのもと、フォトグラファー/ディレクターのモニ・ホーワースが撮影。モデルにはエディ・キャンベルとウエダ ダイスケを起用している。

舞台となるのは、自家用飛行場の滑走路。そこにはラテックスで覆われたテーブルやアルミ箔に包まれたソファなど、本来は室内にあるはずの家具が野外に配置されている。明確な間取りも壁もなく、「住まい」という概念だけが断片的に残された空間。離陸と着陸の両方を受け入れる滑走路を、何かが始まる場所として描き出した。

ベロッティが追求したのは、ジル サンダーの根幹にある研ぎ澄まされた抑制美と「力強いシンプルさ」に、わずかな違和感を差し込むことだ。「余剰」が不可欠なものへと変わり、「加える」行為が「取り除く」行為と呼応する。相反する要素を共存させることで、断片的かつ緊張感に満ちた視覚的な物語を構築している。

物語には明確な筋書きが用意されていない。ヒッチコックやライナー・ヴェルナー・ファスビンダーを思わせる気配を漂わせながら、見る者がその空白を自由に補完できるよう意図的に抽象性を残した。キャンベルとウエダは、滑走路で暮らしているのか。これから旅立つのか、それとも到着したばかりなのか。その判然としない状況そのものが、キャンペーンのサスペンスを生み出している。

ビジュアルは、ホーワースが手がけたショートムービーから切り出されたスチールで構成。ざらついたテクスチャーと色褪せたVHSを思わせる色調によって、緊張や高揚、自己の内面と向き合う瞬間を捉えている。さらにSpace Afrika feat. Deuénによる「If This Is Hell」が、映像の断片性と不穏な空気を増幅させる。

「最小限の手法で、緊張感と驚きを表現したかった」とベロッティ。ジル サンダーらしい「少ない要素でより多くを表現する」という美学を保ちながら、今回はそこから一歩踏み込み、影と官能性を帯びた世界を構築した。エレガンスと不穏さ、抑制と官能。完全には解読できない相反する感覚のあいだに、ベロッティ率いる新たなジル サンダーのイメージが浮かび上がる。

Share

Share

SNS