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最後の会場である「上野桜木あたり」には、ストックホルム出身のエヴァ・ステンラムの作品が軽やかに展示されている。谷中に位置するここは、昭和13年築の日本家屋を利用したパン屋やカフェなどのお店と、レンタルスペース、そして住居が路地や庭で繋がった複合施設だ。作品「Drape」は1960年代の女性のピンナップ写真をモチーフとし、デジタル処理で背景のドレープによって女性の身体のほとんどを覆うことで、「見る」ことに対して私たちが無意識に持つ欲望の関係を問いかけている。作品は住居や店舗の軒先に、日本のドレープである「のれん」の形態で掲げられており、時折風にたなびくことでより写真の「見えなさ」は助長され、無意識に「見よう」とする自分の心の動きに気づく。この会場の奥には、上野公園の入り口にも展示されていた宇佐美雅浩の作品が展示されており、彼の作品が最初と最後で対を成すように、本展が締めくくられている。
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOは、新たな視点や感情を見つけることのできる試みが至る所にちりばめられている。共同ファウンダー/クリエイティブディレクターの速水惟広は、作品を見るヒントとして「作品を見た時、自分がどう反応したのか、なぜそう思ったのかを掘り下げて自分に問いかけてほしい」と語る。屋外型展示のポイントとして、訪れる時間帯や天気によっても違う発見があるような工夫がなされているのも、本展の大きな魅力だろう。本展のほかにも写真教室やトークショー、写真集の販売会など、連動したさまざまなイベントが企画されている。ぜひ何度でも足を運んで、写真を通して目に見えないものに思いをはせる作品たちに出会ってほしい。
タイトル | |
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日程 | 2017年5月19日(金)~5月28日(日) |
会場 | 上野公園、東京藝術大学(トークイベント)、上野桜木あたり、市田邸(東京都) |
時間 | 10:00~18:00 |
料金 | 無料 |
URL |
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