20世紀初頭、ファッション雑誌がビジュアルに写真を起用し「モード写真」という新たな文化が生まれた。
『Italian Vogue』の元編集長カルラ・ソッツァーニは長らくの間、仕事を通じて出会った写真家の作品を集めてきた。1990年にはミラノに自身のギャラリーGalleria Carla Sozzaniを設け、アニー・リーボヴィッツ、デビッド・ベイリー、サラ・ムーン、パオロ・ロベルシなどの写真家をはじめ、カルロ・モリーノや草間彌生を含む建築家やデザイナー、アーティストたちの展示を28年間にわたり行ってきた。
ヘルムート・ニュートンと親交が深かったこともあり、ソッツァーニの膨大な写真コレクションが、現在ベルリンにあるHelmut Newton Foundationの「Between Art & Fashion. Photographs from the Collection of Carla Sozzani」展で公開されている。
テーマに沿って選び抜かれた写真の数は200を超えるが、中でも注目を集めているのはパオロ・ロベルシ、サラ・ムーン、ブルース・ウェーバー、ヘルムート・ニュートンのセクション。彼らのオリジナルプリント、コンタクトシート、そして撮影現場の記録はソッツァーニのコレクションの質と信憑性の高さを物語っている。
Lillian Bassman, A report to Skeptics, Suzy Parker, for Harper´s Bazaar, New York, 1952 © The Estate of Lillian Bassman / Courtesy Staley-Wise Gallery, New York
よくアートコレクションはコレクターの本性を示すというが、このコレクションでも同じことがいえるだろう。写真美術館などの組織が世界中から集めた百科事典的なコレクションを誇る一方で、ソッツァーニのコレクションは彼女自身の感性や個人的な交友関係をもとに構成されている。本展にはファッション写真に限らずヌードや実験的な写真なども含まれ、その種類は多岐に渡るが、その多くが共通して被写体の造形美を誇張する白黒写真だ。過ぎし時代への郷愁とともに、ソッツァーニ独自の美意識や生き方を感じることができる展示だ。
Ralph Gibson, Ich bin die Nacht (I am the night), 1990 © Ralph Gibson
タイトル | 「Between Art & Fashion. Photographs from the Collection of Carla Sozzani」 |
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会期 | 2018年6月2日(土)〜11月18日(日) |
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