Todd Hido

注目作家の作品を平日毎日配信!第21弾はトッド・ハイド

薄暗い森の中では、モミの木の背後にあるぼやけた太陽が昇っているのか沈んでいるのか、よく分からない。真冬には夜明けと日没が一体になる。雲間から差し込む光は一時間かそこらでまた消えていく。ノルウェー海の鉛色の水平線上で、灰色の雲が神秘的な渦を巻く。一方で陸と空の写真では、重苦しい降雪雲が柔らかな毛布のように迫ってくる。この閑散とした、壮大な雪景色のシリーズは、その孤独の中に在る美に威厳さえをも感じさせる。雪片がカメラのレンズに貼り付く。厳とした美しい女性たちのポートレイトは、この土地がそれでも誰かにとっての故郷であることを再認識させる。ほかの写真の街灯やモーテルの標識そして墓地は、冬の厳しさが夏の沈まぬ太陽によって報われる、ある人々(コミュニティ)のライフサイクルを思わせる。

  

作品一覧