イギリス人フォトグラファー、ナイジェル・シャフランの作品集『THE PEOPLE ON THE STREET』が刊行された。
日常を写しとり客観的でありながら親密さを感じさせる作品を作り出してきたシャフランが、本書ではカメラの向きを180度変えて自分自身を被写体とした本作。2016年から2017年の間にロンドンやパリの路上で生活する社会的弱者とされる人々に接触し、自身を撮影するよう依頼し続けて写ったものがこの一冊の本に纏められている。
特段編集作業は行われず、時系列に沿って配置しそれぞれの写真に撮影者の名前と撮影場所のキャプションが添えられている。どこか落ち着かなさを感じさせるこの作品集は、近年のホームレスの危機的状況に対するシャフランなりの回答でもある。
イメージの多くは都市のちょっとした瞬間を切り取ったようなものであり、時折たまたま通りかかっただけで特に写ることを伝えていないような人たちが行き交う姿も写り込んでいる。また、あえて貧困と極端とも言える豊かさを並べて見せることで、見るも明らかに贅沢と言える商業の背景にあるものを批判している。
本作は、よく「犠牲者」として描かれているホームレス像、つまり他者のフィルターを通して晒されているホームレスの姿というものに疑問を投げかけており、作者はこのプロジェクトを通じて「我々」と「彼ら」との間の距離を壊そうとしているのだ。
タイトル | 『THE PEOPLE ON THE STREET』 |
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出版社 | 私家版 |
価格 | 6,800円+tax |
出版年 | 2018年 |
仕様 | スタイロフォームカバー/240mm×200mm/104ページ |
URL | https://ja.twelve-books.com/collections/all/products/the-people-on-the-street-by-nigel-shafran |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。