本書『Elemer』は、2015年に「FOAM TALENT」にも選出されたハンガリー人アーティスト、マートン・ペルラキの作品集。
20世紀初頭の使い切り品で、表には家事の知恵、裏には絵が印刷されたシガレットカードを収集し始めたことをきっかけに制作された本シリーズは、作者がカメラの前にあるひとつの形を巧妙にとらえ「Elemer」と名付けられた登場人物を中心に独自の世界を表現。見るものは「Elemer」が誰なのかを知らず、事実作者もそれが誰であるかを知る必要はないという。
我々が目撃するのは彼が動き、カメラの前に現れると同時に彫刻されていく様子であり、そしてその動きは作者の故郷であるハンガリーの素朴な生活や風景、肖像から、軽妙で幻覚のような奇妙さが引き出されたものになっている。
「最初にシガレットカードを見たときはその絵が滑稽で無意味なものに見えるのに、裏返すとピクトグラムが突然意味を成すんだ。」と作者は話し、この裏返す作業は『Elemer』を通して行われる。鳥、泡、レンガ、芋に加え、Elemer自身でさえもが脈略から外れ、互いにぶつかり合う。このようなブリコラージュ(ここではカードを裏返すこと)の中で作者は事実の中から不合理性を、具体性の中から繊細さを引き出す。
タイトル | 『Elemer』 |
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出版社 | |
価格 | 5,500円+tax |
発行年 | 2016年 |
仕様 | ハードカバー/190mm×230mm/カラー/102ページ |
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