ドイツの現代アートシーンを牽引するベルリンのギャラリー「ケーニッヒ・ギャラリー」が、同国発祥のブランド「MCM」と協業し、東京にギャラリースペースを開いた。
MCMは、2017年よりリブランディングプロジェクトを開始。そのキックオフとなるイベントをベルリンの元教会に入居するケーニッヒ・ギャラリーで行った。以降アート・バーゼルやアイテムなどでタッグを組んできている。他の海外ブランドのようにアートがラグジュアリーな付加価値を添える好例だろう。
今回オープンした「ケーニッヒ・トウキョウ」は、MCMの旗艦店MCM GINZA HAUS 1の6階に位置。天井むき出しの無機質な空間はベルリンのケーニッヒ・ギャラリーを思わせる。ドイツ、オーストリア、スイスなどのアーティストを紹介していくという。
初回エキシビションは、ユルゲン・テラーの写真展「Heimweh(ドイツ語で望郷の意)」。ロンドンを拠点とするテラーのドイツ人としてのアイデンティティ、イギリスにおけるヨーロッパ移民としての立ち位置を考える作品を中心に構成。ユーロ連合のフーディを着た英女優クリスティン・スコット・トーマスのポートレートが象徴的な作品。うつろな眼差しがブレグジットの不安を感じさせる。
サンローランの2019春夏広告、ほっこりする風景写真、無機質な駐輪場などテラーの表現の幅を感じさせるものが並ぶが、どこかこの資本主義社会、特にスノッブなファッションの世界に対するアイロニーを感じてならない。ホットドッグの人形にサンローランのバッグとブーツをディスプレイしたバーニーズ ニューヨーク2014春夏広告、お騒がせセレブのキム・カーダシアンのポートレートなどはそれを暗示する。作品の多くは今回初公開のものという。
ファッション写真家としても名高いユルゲン・テラーの個展から始まったケーニッヒ・トウキョウ。MCMのグローバル・クリエイティブ・オフィサーを務めるファッションデザイナー、ダーク・ショーンベルガーは「アートとファッションの業界の教会を無くすことを目指している」と話しているが、この試みはアートとファッションの懸け橋となるか。注目だ。
タイトル | 「Heiimweh」 |
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会期 | ~2020年1月25日(土) |
会場 | ケーニッヒ・トウキョウ(東京) |
時間 | 11:00~19:00 |
休廊日 | 日月曜 |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。