アメリカ人のアーティストであり写真家でもあるビリー・サリヴァンの作品集『Still, Looking. Works 1969-2016』。
1970年代初頭よりニューヨークのアンダーグラウンドシーンやアート、ファッションシーンをカメラとともに渡り歩き、撮影した写真素材をもとに油絵やパステルドローイング、スライドショーのインスタレーション作品などを発表してきたサリヴァン。被写体は友人や家族、恋人やミューズから高級娼婦までと幅広く、撮影場所もナイトクラブやアトリエ、散らかったホテルの部屋から優雅なビーチハウスまでさまざまである。
収録された写真やペインティング、ドローイングはカメラと絵筆の間で続いている対話であり、その写真は親密かつ官能的で、細部までよく観察されている。後期のペインティング作品では、40年前にカメラに収められた瞬間が時間の経過を拒み、あたかも昨日起きたばかりの出来事のように描かれている。写真と同じくその観察力は細部に至るが、強調するような効果や覗き見行為、皮肉や感傷、哀愁といった要素を用いられておらず、被写体と接する際の誠実な姿勢こそがこの作品のカギである。
それぞれの作品はコメントなしに並べられ、視覚的な自伝としてまとめられているようだが、それは同時に自由奔放なニューヨークの年代記のようにも見ることができるだろう。
タイトル | 『Still, Looking. Works 1969-2016』 |
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出版社 | |
出版年 | 2016年(2019年) |
価格 | 7,800円+tax |
仕様 | ハードカバー/300mm×235mm/296ページ |
URL | https://twelve-books.com/products/still-looking-works-1969-2016-by-billy-sullivan |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。