伊藤昊写真集『GINZA TOKYO 1964』が、森岡書店より刊行された。
1964年の銀座とそこを闊歩する人々を撮っていた伊藤。1964年は、経済白書が「もはや戦後ではない」と宣言してから8年。写真の向こうの銀座には、戦後の苦難を乗り越えた人々の喜びと、街の繁栄が映し出されていた。一方、同時代には、社会の矛盾や敗戦の記憶を写した写真家たちがいた。伊藤昊の場合も、あえて写真の中にゴミ箱やたばこの吸い殻などを取り込むことにより、繁栄の裏側を暗示していたように思う。また、銀座の街で働く市井の人を見つめ、繁栄を支える人々の存在を忘れなかった。
伊藤の写真からは、歴史が作った社会の矛盾を感じながらも、街や人々の明るさの方に目を向け、少年のような希望を持って世の中を見ようとする意識が感じられる。いま、世界は先の見通せない混乱の中にある。しかし、そんないまだからこそ、希望を見ていた伊藤の視線が、人間の可能性の方に目を向ける力になるのではないか、また、沈んだ銀座が一日も早く復活してほしいと願いが込められ出版される。
タイトル | 『GINZA TOKYO 1964』 |
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出版社 | |
出版年 | 2020年5月11日(月) |
価格 | 5,500円+tax |
仕様 | ハードカバー/B5判/144ページ |
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