Photobooks of the Month

書店員がピックアップする10月のおすすめ写真集【POST編】

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東京都

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リリア・ルガンスカイア『Investigation of Love』

リリア・ルガンスカイア『Investigation of Love』

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=錦多希子(POST)

今注目の作家

ロシア出身で、現在はオランダ・アムステルダムを拠点とするヴィジュアル・アーティストで写真家のリリア・ルガンスカイアの実践は、写真や多分野にわたるインスタレーションで繰り広げられます。本作では、「愛」という形のない抽象的な概念を証明するために、果たして写真というものが機能するのかどうか?この真相を探るため、自らの境遇に着眼点を置きました。メッセージの添えられたポストカード、思い出のつまった品々、航空券や入場チケット、はたまた移民である彼女がオランダ在留資格取得のために入国審査官に提出した交際証明に至るまで、ページをめくるごとにとりとめもなく展開されています。この集積は彼女にとっては純粋な芸術表現である以上に、パートナーとの間に深まった愛の軌跡そのものなのです。

タイトル

リリア・ルガンスカイア『Investigation of Love』

出版社

私家版

価格

8,000円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー

URL

https://post-books.shop/items/5bb44d7ea6e6ee42360002c9


スイス・チューリッヒを拠点とするデザイナーのピエロ・グリナは、多種多様なメディア、あらゆるコミュニケーションの形態、そしてこうしたトピックについて対話することに強い関心を持っています。そんな彼が着目したのは、「ひとの死にぎわ」でした。これまで数多の映画で幾度となく最期のときが描かれていましたが、こうした場面は必ず、逝くひと、そして看取るひとがいて成立しています。少々乱暴な見解ですが…観客からしたらこの光景はありふれたものでもあり、極論を言えば人物の置き換えも可能である。そう考え至った彼は、表裏にひとつの映画のシーンを収録したページを集積して製本しました。すると、全く別の映画の一幕が絡み合う。この本のなかでしか起こりえない物語が立ち現れ、延々と繰り返されてゆきます。

タイトル

ピエロ・グリナ『we belong dead.』

出版社

Everyedition / Fold

価格

2,900円+tax

発行年

2015年

仕様

ソフトカバー

URL

https://post-books.shop/items/5bb4524f50bbc307fd000262


他者と手を組んだ創作における何よりの利点は、それぞれ異なる職能を活かし合うことで、単独では成しえないことを実現しうる点ではないでしょうか。デザイナーのナディン・シュリーパーと写真家のロバート・プフレブによる初めての協働もまた、互いの表現の飛距離を伸ばすことに繋がっています。
「もうひとつの月」と名付けられたこのアートブックの中面には、月の満ち欠けを想起させるイメージが連なります。最後のページまでたどり着くと…月だと思い込んでいたものが、実はみなパンケーキの接写だったことが明らかにされるのです。予想もつかない結末を受けて、驚きとともに膝を打つことでしょう。概念としての月を映し出すという試みは二者の独特な感性と豊かな機知とがあいまって、読者に新たな発見をもたらしてくれます。

タイトル

ナディン・シュリーパー(デザイナー)、ロバート・プフレブ(写真家)『Alternative Moons』

出版社

The Eriskay Connection

価格

4,000円+tax

発行年

2017年

仕様

ハードカバー

URL

https://post-books.shop/items/5bb454d95f7866669200042b

POST(limArt Co., ltd)
恵比寿にあるブックショップ。定期的に取り扱っている出版社が変わり、出版社の個性を感じる事の出来るセレクトになっている。また書店だけではなく、トークショーや展覧会なども開催、本の売り場のコーディネートや本のアーカイブ作成も手がけている。

〒150-0022
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tel: 03-3713-8670
月曜定休
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