Photobooks of the Month

書店員がピックアップする1月のおすすめ写真集【銀座 蔦屋書店編】

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東京都

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篠山紀信「BIG-BOOK『water fruit』」

篠山紀信「BIG-BOOK『water fruit』」

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=築根ひろ子(銀座 蔦屋書店)

テーマ:ヌード写真集

身体の美、写真家と被写体の親密性、異性へのまなざしなど、さまざまな側面から時代性を表すヌード写真。アートとしてのヌード写真集のコーナーを設けている当店。今回は、おすすめのヌード写真集を3冊ご紹介します。

1冊目は、蔦屋書店が大型アートブックを独自出版するTSUTAYA BIG-BOOKプロジェクトとして刊行された『篠山紀信 BIG-BOOK water fruit』です。

1991年に刊行された写真集『water fruit』は、写真家・篠山紀信が女優・樋口可南子を和風の設えの家屋でモノクロで撮影した作品で、事実上の「ヘアヌード解禁」のきっかけとなったことにより社会現象を巻き起こしました。約55万部を誇るその発行部数は、現在でも日本の写真集の歴代第3位に君臨する名作です。

今回、オリジナルの撮影ネガフィルムをデジタル印刷機用に製版し、デジタル印刷でB2サイズに出力するという高度な印刷技術によって、名作写真集『water fruit』がBIG BOOKとして生まれ変わりました。“大きく魅せる” ことで新しいヌード写真の鑑賞体験を可能にする1冊です。秘密の旅行をしているようなシチュエーションで撮影された当時33歳の樋口可南子は、抒情的でしなやかな、息を飲むような美しさを携えています。こうした美しい表情は、樋口可南子と幾度にわたってフォトセッションを行っている篠山紀信だからこそ、撮影できたのかもしれません。国を問わずご来店下さる多くのお客様を魅了している写真集です。

タイトル

篠山紀信「BIG-BOOK『water fruit』」

出版社

カルチュア・エンタテインメント株式会社

価格

388,000円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー/510mm×682mm/限定30部

URL

https://store.tsite.jp/item-detail/art/14522.html


世界的ファッションフォトグラファーのマリオ・ソレンティ。彼が1993年にCALVIN KLEINの香水「OBSESSION」のキャンペーンで、当時恋人だったケイト・モスを撮影したイメージは、ファッション写真に革新を起こしました。

2冊目にご紹介する 『KATE』は、二人が恋人だった二年間に撮影されたプライベートショットが収録された写真集です。強く凛とした瞳をこちらに向けるかと思えば、あどけない少女のようにはにかんでみせたり、スーパーモデルとしてスターダムを駆け上がる前のケイト・モスのさまざまな表情を楽しむとともに、二人のアーティストの親密な空間を味わうことができます。時代を変えた「OBSESSION」のビジュアルイメージは、こうした二人のプライベートな時間の延長にありました。

ケイト・モスはのちに笑い話として当時を振り返りながら、朝起きた瞬間から自分の写真を撮り続けるマリオ・ソレンティにうんざりしていたことを語っていますが、寝起きであろう、眠たげな顔の彼女も収録されています。写真家とモデルの関係性について考える上でもひとつの貴重な記録といえるかもしれません。ハードケース付きの豪華な装丁もあわせて、過ぎ去った思い出の箱を開くように甘美な時間を与えてくれる1冊です。

タイトル

マリオ・ソレンティ『KATE』

出版社

Phaidon

価格

12,910円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー/308mm×292mm/ハードケース付き

URL

https://store.tsite.jp/item-detail/art/14729.html


ヌード写真をテーマにご紹介する3冊目は中国人アーティストのピクシー・リャオの写真集『Experimental Relationship vol.1』です。本書は、ピクシー・リャオが慎重にセットアップしたシチュエーションを年下の恋人「モロ」とともに演じることで完成する、ユーモラスで少し不思議なヌード写真で構成されています。彼女は5歳年下の日本人男性モロとの出会いによって、中国人女性として自分が当たり前だと思っていた「自分を導き、守ってくれるような年上の男性を愛すものだ」という意識が変化したことを語っています。異性間の役割や力関係が入れ替わったら、どんな関係性を築くことが可能かということが彼女の制作テーマとなりました。

2018年のThe Paris Photo-Aperture Foundation PhotoBook Awardsの審査員特別賞を受賞した本書。近年の#MeTooムーヴメントをはじめとする異性間の関係、認識の問題をめぐるときに緊張に満ちた状況の中で、ピクシーとモロは共犯関係によって、クスっと笑ってしてしまうような楽しいビジュアルを作り上げていることが評価されました。タイトルの通り今作は「vol.1」で、二人の性別、年齢、アイデンティティーに関する「関係性の実験」は途上であり、今後も続いていきます。自分と身近な人や異性との関係性について考察を与えてくれる1冊です。

タイトル

ピクシー・リャオ『Experimental Relationship vol.1』

出版社

Jiazazhi Press

価格

6,000円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー/168mm×260mm/限定500部

URL

http://jiazazhistore.com/product/pixy-liao-experimental-relationship-vol1

銀座 蔦屋書店
アートと日本文化の2つのテーマに掲げ2017年4月にGINZA SIX6階にオープンした大型書店。 6万冊以上のアートブックが並ぶ書店だけではなくギャラリーやカフェなどを併設し 銀座カルチャーの新たな中心となっている。

〒104-0061
東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F
tel: 03-3575ー7755
10:00~22:30(不定休)
https://store.tsite.jp/ginza/