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―この展覧会の構成はとてもミニマルで、余計な要素を完全に省いています。それによって見る側の焦点を絞らせて、限られた作品を細かく観察させますね。
テラー:要素は、皿(=私)、動物、それとエグルストンとシャーロットという私にとって大切な二人です。彼らは親しい友人ですし、多くの人にとっても大事な二人です。彼らと知り合ったのは貴重なことでした。彼らの象徴的な存在も重要ですし、彼らと一緒に何ができるかという可能性も重要です。一緒に大冒険に出かけることができる、とても自由な二人です。そういう人といると、普通ではできないことが可能になるよね。
ユルゲン・テラー「William Eggleston and Pink Gorilla, Memphis」2010年 C-print, 182.9 x 274.3cm
Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo
お皿というモチーフに気付くまでに、52年かかりました。ほかの写真家はできないけど、私はお皿を独占的に使えるのです。でもメイプルソープはすでに使っていたけどね(笑)。
いい換えれば、ストリート写真を撮っている写真家なら、すぐに5人くらいは名前が挙げられるでしょう。だからストリート写真がダメだとはいってないけれど、ただ私は、自分が完全に独占できる被写体を探していたんです。写真家には自分の独自の表現が必要なんです。見たことがない写真を撮っている写真家になりたいんです。
ファッションフォトグラファーとして成功していて、ポートレイトを撮って、ヌードを撮って、フードを撮ることができる。この人生で全てをやってしまっている。じゃあこれからどうしたらいいか?新しいことをやるには、自分の奥深くまで掘っていく作業が必要なんだ。
―これから写真には、どんなことが可能だと思っていますか?
テラー:写真は興奮への扉を開いてくれる、良い人生のためのツールです。不可能を可能にしてくれる。バルコニーから飛び降りてとお願いしても、カメラさえ持っていれば、飛び降りてもらうことも可能なんだから。カメラがあれば、必要な時にチャーミングになれるし、相手は驚くほど協力的に接してくれます。なんでもやってくれるから、びっくりするよ。
―写真を通して、人からいろいろ引き出せますね。
テラー:写真はバカなことをやるためのきっかけですね。バカなことを頼んでみれば、実現できるかもしれない。まったく不可能だと思うことも、写真をきっかけにすれば、手に届くんだ。夢と想像を超えるよ。
私はセイディと結婚したことで、私が本当の自分を出すことを受け入れてもらった(現在の彼の妻はアートディーラーのセイディ・コールズ)。彼女が私を自由にしてくれたんだ。もうひとつ決定的な出来事があって、私の父が1988年に自殺したんです。そういう出来事は、自分と家族のすべてを逆転させる。でもこれがきっかけで、自分は自分の人生に責任を持っているんだと気づきました。自分が好きな方向へ人生を変えることができる。仕事がつまらない、妻がつまらないって愚痴をいっても何も変わらない。あなたは人生を変える力をすでに持っている。すべてをコントロールすることができなくても、ある程度コントロールはできるはずだ。自分に責任があって、何かをやるべきだ。人生はたった一回きりだからね。だからこそ、当たって見るべきだ。例えばシャーロット・ランプリングに「裸になって、俺とキスしている写真を撮らせてもらえないか」って頼んだりね。「ノー」といわれるかもしれないけど、でも彼女は「いいよ」といってくれた。信じられなかった。すごい!と思ったんだ。
―あなたのようなキャリアの人でも、驚くんですね!
テラー:そうだよ!信じられない。自分からお願いしているのにね。でも私の毎日も同じで、いまでも驚きの連続なんだ。
Juergen Teller: Teller ga Kaeru
Blum & Poe 東京での展示風景(2017年)撮影:椎木静寧
Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo
タイトル | 「テラー ガ カエル」 |
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会期 | 2017年2月4日(土)~4月1日(土) |
会場 | BLUM & POE(東京都) |
時間 | 11:00~19:00 |
休廊日 | 日月曜 |
URL | http://www.blumandpoe.com/exhibitions/juergen-teller-teller-ga-kaeru?lang=ja |
ユルゲン・テラー|Juergen Teller
1964年ドイツ・エアランゲン生まれ。ミュンヘンのバイエルン州立写真学校を卒業後、1986年よりロンドンを拠点に活動。これまでに世界中で数々の作品を発表してきた。2016年にクンストハーレ・ボンを皮切りに始まった個展「Enjoy Your Life!」は、現在ルドルフィヌムギャラリー(プラハ)にて2017年3月19日まで開催されている。同展は、4月20日から7月3日までマルティン・グロピウス・バウ(ベルリン)にて巡回を行う。
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