21 December 2021

IMA next #028 審査員 サイモン・ベイカー
テーマ「OTHER HISTORIES」にまつわるQ&A

21 December 2021

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IMA next #028 審査員 サイモン・ベイカー テーマ「OTHER HISTORIES」にまつわるQ&A | Hiroshima Graph - Rabbits abandon their children (C)Yoshikatsu Fujii

Hiroshima Graph - Rabbits abandon their children (C)Yoshikatsu Fujii

Q.今回のコンテストのテーマに「HISTORY」ではなく「OTHER HISTORIES」を選んだ理由を教えてください。

A.「歴史」とひとえにいっても、政治的、社会的、またはパーソナルな経験など、さまざまな歴史のとらえ方があるということを含め、あらゆる方法で個々のエピソードが語られていること、よって私たちの立ち位置を認識する方法もたくさんあるということを伝えるために「OTHER HISTORIES」にしました。

Q.近年キュレートしたプロジェクトのなかで、「OTHER HISTORIES」のテーマに当てはまる作品はありましたか?

A. テート・モダンで多くの戦争や争いの写真を集めた「Conflict, Time, Photography」展を開催したことがあります。その際、実際の出来事と撮影までの時間をもとに展示をキュレートしました。例えば、東松照明や川田喜久治などが60年代に撮影した広島や長崎の写真は原爆の20年「後」に制作されています。よって、この展示は私たちに「時間」と「歴史」というテーマについて新しい視点を与えてくれました。写真はよく、アクションやエピソードを記録する技法として考えられていますが、このように長い時間をかけて歴史を振り返ることができるメディアでもあります。

Q. テートの写真部門シニア・キュレーターを経て、現在はヨーロッパ写真美術館のディレクターですが、今後の写真界を率いる美術館としてプロジェクトをキュレーションする際に、新しい作品のどのような点に注視していますか?

A. まずは写真集です。作家がどのようにして自分の作品を出版物としてまとめるのかを見ます。そのアーティストのより広い視野がわかりますし、一枚だけの写真よりは鮮明に作家性が確認できます。次に、写真として何か新しいアイディアを提示しているのか知るために、どのようなバックグラウンドや文化に属するのか見極めようとします。最後に大事なのは、作家のユニークな声です。正確に何を伝えようとしているか、その声が私の心に響くか、で判断していますね。

Q. 日本の写真についてどのようにリサーチしていますか?

A. 新型コロナウイルスの前は年に2、3回は日本を訪れていました。最近はそれが叶わないので、日本で何が出版・展示されているか細かにチェックしています。あとは、日本のギャラリーや出版社とも親しいので彼らからの情報や、コロナ禍で行われたKyotographieなどのアートフェスも追っています。

Q.若手の日本人写真家にどのような印象をお持ちですか?

A. 地理的に一括りにするのは難しいのですが、日本の若手にはいつも驚かされます。前の世代よりも女性写真家が増えているのも嬉しいですし、よくパーソナルで扱いづらいトピックを躊躇なく探究しているところも評価に値します。

Q.若手写真家へのショートメッセージを!

A. 本を作ってください!出版社が見つからなければ、自分でも出版できます。これが世界に自分の考えを伝える最適な方法です。

Q.ロバート・キャパやユージン・スミスを含む偉大な写真家の中で、報道写真、または記録写真としてカテゴライズされる作品も少なくありません。しかし、現代ではこれらの作品はよくアート作品として昇華されています。歴史写真とアート写真を区別する明確な線引きは存在しませんが、どのような性質の違いを持っていると思いますか?また、このようにときがもたらす写真の価値の変化の真髄はなんなのでしょうか?

A. まず、私はこの考えに賛成できません。報道写真とアート作品には明瞭な違いがあると思っています。少なくとも大半の写真については。この二つが混同される主な理由としては、外的に当てはめられた作品のコンテキストによって操作されてしまった印象であり、私はイメージの本質は変わらないと思います。何かが額装されてギャラリーで販売されているからといって、その写真の報道写真的であったりドキュメンタリー的な性質がなくなるわけではないのです。

タイトル

「IMA next」THEME #28 “OTHER HISTORIES”

応募期間

2021年10月20日(水)〜12月21日(火)

応募料金

2,000円/1エントリー

URL

https://ima-next.jp/entry/other-histories/
SMARTPHONE(審査員:姫野希美)も応募受付中、こちらは2022年1月24日(月)まで。

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