10 August 2022

IMA next #035 審査員 上田義彦
テーマ「DAILY」にまつわるQ&A

10 August 2022

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IMA next #035 審査員 上田義彦、テーマ「DAILY」にまつわるQ&A | 上田義彦

毎月IMAが開催するオンライン写真コンテスト「IMA next」では、毎回異なるテーマを掲げ、写真家やキュレーター、編集者などがゲスト審査員となり優れた作品を選出する。2022年8月22日(月)まで応募受付中のコンテストテーマは「DAILY」。審査員の上田義彦に、今回のテーマや自身の活動について質問してみた。

Q.パンデミック以降、私たちの日常は一変しました。今回のテーマ「日常」に込めた思いとは?コロナ以降、ご自身も日常にカメラを向けるとき、新しい発見やこれまでの視点との違いを感じることはありますか?

A. コロナウイルスによって、行動の制限を受けたことは、それ以前と以後とでは、生活や思考の仕方に大きな影響を受けたと思います。それによって、当然のように私自身の写真にも同じように影響があったと思いますが、私の写真の本質的なところでは、大きな影響はないと今のところは感じていますが、長い時間の流れの中では、何かしらの変化を自分自身の写真において見てとれる日が来るかもしれません。

なので、今回のテーマ「日常」に、このコロナウイルスの影響が色濃く出ているものを期待している訳ではありません。それぞれの日常というそれぞれの目の前の無常(ひと時として同じことがなく、移ろい変化していく)の時間を捉えた写真を期待しています。

at Home

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Q. ご自身がキャリア初期に思い描いていた未来と現在は、近いですか?20、30代のころ、キャリアを築く上で大事にしていたこと、もしくは印象に残っている言葉などありましたら教えてください?

A. キャリア初期に、今を思い描けていたとは思えません。
思い返せば、その時の現実と想いとの葛藤の中を夢中で駆け抜けた、と言うのが偽りのないところです。その頃も今もそうですが、目の前にあることを自分の現実としてとらえ、それに向き合い、そこから出てくる感覚を答えとして大事に受け止め、それに反応する。ということをやり続けていると思います。過去や未来は、それによって決まると考えています。

「近道を選ぶな、遠くへ行け。」

誰に言われたのか、今では自分の大事な言葉になっています。

Q. 商業写真とパーソナルワークは、どのようにバランスを取っていますか?

A. 僕にとっては、自身が写真を撮るという行為において、分けて考えるのはナンセンスだと思っています。

Q. 写真のみならず映像も手がけてらっしゃいますが、映像制作において、ご自身の写真家の部分を改めて強く感じることはありますか?

A. 映像を考える時、自身が写真を基に考えていることを強く感じています。
これは私自身の合理的な自然な流れだと思っています。

Q. 多摩美術大学グラフィックデザイン学科教授として、若い世代の写真家と交流されることも多いかと思います。 若い世代の特徴、もしくは前世代との違いを感じる部分はありますでしょうか?

A. 育った時代の空気の違いがあるかもしれません。しかし、それほど大きな違いを感じたことはありません。若い人はいいな、と思うことはありますが。


at Home

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Q. 今後の予定を教えてください。

A. 8月27日(土)より六本木の小山登美夫ギャラリーにおいて写真展『Māter』が開催されます。同時に写真集『Māter』を赤々舎から出版する予定です。

また、今秋には私が長年携わったサントリー烏龍茶の写真と、その時々に撮っていたスナップ写真をまとめた写真集が赤々舎から出版される予定です。

2020年の新型コロナウイルスのパンデミック以降、私たちの日常は一変しました。そしてそれ以後の生活が、もはや私たちの日常になりつつあります。私たちが失ってしまったかつてあった日常の光景、それでも変わらない周囲の人たちとの絆、あるいは一新された日々の生活、それらはこれからの未来を考える糧となるのではないでしょうか。私たちは、二度と同じ時間とは巡り合うことのない無常という日常を生きています。その日常の概念が揺らいでいるいまだからこそ、もう一度自分の周囲を見つめ直し、「DAILY」を再発見してみてください。

上田義彦が審査する、IMA next 第35回「DAILY」へのご応募お待ちしています!

タイトル

「IMA next」THEME #35 “DAILY”

応募期間

2022年06月27日(月)〜2022年08月22日(月)

応募料金

2,000円/1エントリー

URL

https://ima-next.jp/entry/daily/

上田義彦 (写真家)

写真家。多摩美術大学科教授。日本写真協会作家賞、東京ADC賞、ニューヨークADC賞など。
2011年にGallery916を主宰。代表作に、ネイティブアメリカンの聖なる森を捉えた『QUINAULT』、前衛舞踏家・天児牛大のポートレート集『AMAGATSU』、自身の家族にカメラを向けた『at Home』、生命の源をテーマにした『Materia』シリーズ、30有余年の活動を集大成した『A Life with Camera』など。近著には、『FOREST 印象と記憶 1989-2017』、『68TH STREET』、『林檎の木』などがある。
自ら脚本、撮影、監督を手掛けた映画、『椿の庭』を2021年4月に公開。

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