25 August 2023

IMA next #046 審査員 スティーブン・ギル、テーマ「PLANT LIFE」にまつわるQ&A

25 August 2023

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IMA next #046 審査員 スティーブン・ギル、テーマ「PLANT LIFE」にまつわるQ&A | Hackney Wick 2003 - 2005 © Stephen Gill

Hackney Wick 2003 - 2005 © Stephen Gill

毎月IMAが開催するオンライン写真コンテスト「IMA next」では、毎回異なるテーマを掲げ、写真家やキュレーター、編集者などがゲスト審査員となり優れた作品を選出する。IMA next 最終回には、イギリス人写真家スティーブン・ギルを審査員として迎える。クリエイティビティを常に絶やさず、自然と寄り添う作品を多々生み出してきたギルに、自然との関係性や制作において重要視していることなどについて話を聞いてみた。

ー 審査テーマ「PLANT LIFE」に込めた思いとは? どのような作品との出会いを期待していますか?

私にとってもとても大切なテーマですし、幅広い解釈の余地があり、無限の可能性を秘めていると思ったので「PLANT LIFE」というテーマにしました。特に期待している作品のイメージはありませんが、何か心を動かされるようなものや、想像を超えるような写真作品との出会いを楽しみにしています。

The Pillar 2015 - 2019 © Stephen Gill

The Pillar 2015 - 2019 © Stephen Gill


ーロンドンのような大都市やスウェーデンの小さな村など、都市でも田舎でも常に自然に寄り添う作品を作られています。制作における自然との関わりの重要性について教えていただけますか?

自然との関わりは、おそらく子どもの頃からずっとあり、私の中にとても深く根付いているものだと思います。ロンドンで過ごした20年を含め、都市に住んでいたときも常に自然に惹かれていました。この世界では2度と同じことが繰り返されることはなく、無限の可能性が広っています。その中で生きる私にとって、自然との関わりはある種のセラピーなのかもしれません。

ーシリーズごとに異なる実験的な手法を採用されていますが、一貫して大切にしていることはありますか?

被写体に委ね、導かれるままに制作することが多いです。大人になってからは、自分の考えや先入観を押し付けるのではなく、できるだけ一歩下がって、被写体が主役となれるような方法を模索し続けています。


Hackney Flowers 2004 - 2007 © Stephen Gill

Hackney Flowers 2004 - 2007 © Stephen Gill

―シリーズごとにNobody Booksから写真集を刊行されていますが、ご自身のレーベルを持つメリットは何でしょうか?

シリーズごとに本を出版していますが、基本的に作品を作ることと、本を作ることは別物と考えています。本作りを前提に作品を制作することはありません。写真作品こそ、私のすべてなので。ですが、絵でも写真でも、本に収められたイメージを見るのはとても好きです。
自身のレーベルを持つメリットは、自分のペースを保てますし、オーディエンスのことを考えすぎず、私自身がテーマに合っていると感じる本を作ることができる点ではないでしょうか。外的要因に流されることなく、作品に忠実な本を出版することができます。


Night Procession 2014 - 2017 © Stephen Gill

Night Procession 2014 - 2017 © Stephen Gill

ー以前、「Shoot(撮影する/ 撃つ)」という言葉の使用を避けているとおっしゃっていましたが、その理由とは? 制作において、言葉は重要な要素とお考えですか?

長い時間をかけて制作されたイメージや、「作られた」イメージもあるため、それらに対して「Shoot」という言葉を使うのは軽すぎる感じがするのであまり使わないですね。また、多くの意味を持つ言葉であり、その中に私が好まないニュアンスもあるのも理由のひとつです。

友人から聞いたエピソードなのですが、銀行の支店長の撮影を依頼され、大きなバッグ、小さなバッグ、三脚バッグなどを持って銀行に出向いたところ、入り口で警備員に来館理由を聞かれ、支店長を「Shoot(撮影する/ 撃つ)」しに来たと答えたら、その場で警備員が飛び掛かってきて捕まったそうです。

ー 若手写真家に対して何かアドバイスはありますか?

人それぞれ違うので、答えるのが難しい質問ですね。強いて言うならば、直感を大切にしてください。何かを作りたいと強く思うのであれば、ただそれを作るだけです。それは、いいアイデアなのか? 自分自身が気に入るものなのか? 他の人は気に入ってくれるだろうか? そんなことは考えずに作ってください。目的地よりも、そこへ辿り着くまでの旅の方がよかったという結果になったとしても、ただそれを作り、自分自身の殻から抜け出すことが大事です。

もう一つは、オーディエンスの欲を満たすために作らないこと。他人が求めているものを、あなたが作る必要はありません。最も大切なのは自分のために、そのテーマにとって最もしっくりくる作品を作ることです。他人がチョコレートケーキを好きだからといっても、それはあなたがチョコレートケーキを作る理由にはなりません。自分自身とテーマに忠実であってください。もしあなた自身が良いと思う作品なのであれば、他人も良いと思う可能性は十分にあるのですから。

タイトル

「IMA next」THEME #46 “PLANT LIFE”

応募期間

2023年8月14日(金)〜10月16日(月)

応募料金

2,000円/1エントリー

URL

https://ima-next.jp/entry/plant-life/

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