7 October 2021

第一回「PHOTO KOMORO」開催中!
情緒あふれる小諸市でアートフォトを満喫する秋

AREA

長野県

7 October 2021

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第一回「PHOTO KOMORO」開催中!情緒あふれる小諸市でアートフォトを満喫する秋 | 第一回「PHOTO KOMORO」開催中!情緒あふれる小諸市でアートフォトを満喫する秋

全国的に緊急事態宣言が解除となり、旅やレジャーに出かける人も増えてきたこの秋、IMAがイチオシしたいのが、長野県小諸市で開催されている「PHOTO KOMORO」。というのも、展示キュレーションをIMAが担当、2018年から開催されている(2020年はコロナのため休止)「浅間国際フォトフェスティバル」の会場のひとつで、本誌やIMA ONLINEでもお馴染みのアートフォトの作家8人の作品が見られる。

文=IMA=文
写真=御座岡宏土

PHOTO KOMORO


初めての開催となる2021年のテーマは「Neo Retro Photo in Komoro ーー懐カシクテ古クテ 新シイ写真体験」。

ここ数年、レコードやカセットテープ、喫茶店、横丁などあちこちで「レトロ」ブームが起こっているのはご存知の通り。写真ファンの間でも、フィルムカメラや写ルンですなどが人気を博したり、プラチナプリント、サイアノタイプやダゲレオタイプなどのアナログの古典技法が復権している。

小諸市は、知る人ぞ知るレトロな街。城址の面影を残す懐古園が有名だが、今も北国街道を中心に江戸時代の旅籠や明治・大正時代の商家などが江戸情緒たっぷりの宿場町の名残があちこちに見られる。さらに時代を下って、昭和感あふれる喫茶店やスナック、美容院などが商店街に立ち並ぶ様子もレトロ好きには堪えられないはず。

森山大道「Stray Dog」(1971)© Daido Moriyama Photo Foundation, Courtesy Akio Nagasawa Gallery, Tokyo

森山大道「Stray Dog」(1971)© Daido Moriyama Photo Foundation, Courtesy Akio Nagasawa Gallery, Tokyo


街中のあちこちに点在するように8人のアーティストの写真作品を展示。散策を楽しみながら、ランチをしたり、お茶を飲んだり、観光を楽しむ合間にゆったりとアート鑑賞できるのが魅力だ。

北国街道沿いにあるほんまち長屋館の外壁に登場には、森山大道が70年代、青森・三沢の路上で捉えた野良犬のイメージ。昭和40年代まで味噌・醤油醸造業を営んでいた商家の面影を残す日本が世界に誇る建物をストリートスナップの巨匠の代表作が迫力の大きさで飾るさまは目を引く。

ヴィヴィアン・マイヤー『Self Portrait』(1950年代初頭〜1978年)

ヴィヴィアン・マイヤー『Self Portrait』(1950年代初頭〜1978年)

ヴィヴィアン・マイヤー『Self Portrait』(1950年代初頭〜1978年)


同じ北国街道沿いにある江戸時代、小諸宿の脇本陣であった粂屋には、シカゴでナニー(乳母)として働きながら写真を撮り続けた女性アマチュア写真家ヴィヴィアン・マイヤーが撮影したセルフポートレイトだけをピックアップして展示。ドキュメンタリー映画で注目を集めたマイヤー作品だが、日本で見られる数少ないチャンスなので、ぜひこの機会を見逃さないでほしい。

小池健輔「Boat」(2018)

小池健輔「Boat」(2018)


懐古園で作品を見つけた人がその大きさに驚きの声をあげるのが、展望台から臨む酔月橋に吊るされた巨大な小池健輔によるイメージ。8×10メートルというスケールで鑑賞する作品は圧巻だ。ボートの上で愛を囁き合う若い男女は一見幸せそうに見えるが、小池作品らしいウィットとアイロニーに富んだクスッと笑える一作。

伊藤昊『GINZA TOKYO 1964』(1964)

伊藤昊『GINZA TOKYO 1964』(1964)

小諸城で乗馬の鍛錬の場であった⾺場跡には、1964年、初めての東京オリンピックに沸く銀座の街並みと人々を撮影したモノクロ写真が並んでいます。57年ぶりの東京オリンピックが開催された今年、往時を振り返って、日本の来し方に思いを馳せてみてはいかが。

大坪晶『Shadow in the House』(2017-)

大坪晶『Shadow in the House』(2017-)

懐古園内に残る1817年に小諸藩主・牧野康長が建立した武器庫。薄暗い建物の中で、大坪晶の幻想的な作品が柔らかい光を放ちながら展示されている。戦後、GHQに接収された個人住宅にダンサーの残像を重ねて撮影され、建物が見てきたさまざま歴史の記憶を映し出す。

山田梨詠『Familie werden(家族になる)』(2017)

山田梨詠『Familie werden(家族になる)』(2017)

駅前広場と懐古園側をつなぐ東西自由通路には、ドイツ語で「家族になる」という意味のタイトルが冠された山田梨詠の20点の写真が並ぶ。国内外で見つけた昔の家族写真と作家自らが再現したセルフポートを対にして、時代によって変容する家族というもののあり方を問いかける。時代、地域、文化、コミュニティによって刻々と変わる「家族」の形の現在と未来について考えてみるきっかけになるだろう。

二本木里美『70’s Tokyo TRANSGENDER』© SATOMI NIHONGI

二本木里美『70’s Tokyo TRANSGENDER』© SATOMI NIHONGI

1970年代の新宿や六本木、赤坂、青山のゲイバーやゲイクラブで自己表現し、生を謳歌するトランスジェンダーたちのポートレイトを撮影していた二本木里見の作品が展示されているのは、廃屋となっていた昭和の名残を残すスナック跡地。半世紀以上前のLGBTQ写真をいま見直すことは、現代の私たちの直面するジェンダーイシューを考えることでもある。

ほかにも、古い酒屋跡に飾られた水谷吉法の屏風作品、レトロな歯科医院跡で見る小池健輔のミクロな展示、小諸駅でのもうひとつの森山大道の大型展示など、計8人のアーティストによるの70余りの作品が展示され、笑いや驚き、示唆に富んで迎えてくれる。今後、フォトコンテストやイベントも開催予定。

秋の紅葉や新蕎麦も楽しめるこの時期、ぜひ小諸行きを計画してみてはいかが。

タイトル

「浅間国際フォトフェスティバル PHOTO KOMORO『Neo Retro Photo in Komoro ―― 懐カシクテ古クテ 新シイ写真体験』」

会期

2021年8月28日(土)~11月21日(日)

会場

長野県小諸市(小諸駅周辺の屋内・屋外施設)

時間

9:00~17:00(旧吉池歯科、旧大塚酒店の展示は10:00~17:00、粂屋の展示は11:00~16:00、小諸駅駅舎の展示は6:30~19:30、そのほか常時鑑賞可能な施設あり/詳細は各展示作家の詳細ページ参照)

休廊日

無休(粂屋の展示は火水曜休み)

料金

無料(懐古園入場の際には散策券:大人200円、中学生以下50円)

URL

https://asamaphotofes.jp/komoro/

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