毎日の生活に、またクリエイティビティに欠かせない音楽という存在。自分だけのプレイリストを気軽に作れるようになったいま、写真家たちはどんな音楽を聴いているのだろう? 第4回は音楽やファッションのジャンルで活躍する写真家・草野庸子。友人と過ごす時間や日常の積み重ねを、まばたきするように切り取るスナップ写真を発表している。今回作成してもらったプレイリストでは、日々の見慣れた景色が新鮮に眼に映るような音楽がセレクトされている。バンドが奏るギターの音色は暗闇の中に差し込む光のようであり、シンガーソングライターの温もりのある歌声からは、心地の良い風を全身で感じることができるだろう。草野の写真を見ているような感覚をもたらせてくれる音楽を、早速歩きながら聴いてみよう。
写真・文=草野庸子
「日々」
1. “The Future”
レナード・コーエン
2. “Adventures Close to Home”
ザ・レインコーツ
3. “Why Can’t I Touch It?”
バズコックス
4. “Jesus Was a Cross Maker”
ジュディ・シル
5. “滑る刃の人に”
メトロノリ
6. “Cheree”
スーサイド
7. “氷の世界”
井上陽水
8. “Carey”
ジョニ・ミッチェル
9. “Pictures Of Me”
エリオット・スミス
10. “The Moon Song”
カレン・オー
11. “After Hours”
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
こう天気が良くなってくると、何はなくとも外に出たくなる。
公園にひとり出向いたり、歩きながら写真を撮ったり、撮らなかったり。見知った街でも一本裏に入ることで意外な景色に出会う。初めて訪れる地をGoogleマップも開かずウロウロするするのも良い。
道で話してる老人たちの会話を盗み聞きしているときもあれば、音楽を聞いていることもある。秋田県男鹿市でバスの車窓からみた光る雑木林にはジョニ・ミッチェルが合った。ザ・レインコーツはぬるく風の強い曇りの日に聞きたい。ヴェルベットのAfter Hoursはいつだって最高。
日々、自分の目に入る景色、レンズを越して見える景色、それらとまたちがう現実へ浮かびあがらせてくれるような音楽に嬉しくなる。
草野庸子 |Yoko Kusano
1993年、福島県生まれ。 桑沢デザイン研究所在学中にプライベートで撮りためて応募した写真で、2014年にキ ヤノン写真新世紀優秀賞(佐内正史選)に選出。写真集に『untitled』(2015)、『EVERYTHING IS TEMPORARY(すべてが一時的なものです)』 (2017)、『across the sea』Roshin Books(2018)がある。