21 May 2021

写真家のプレイリスト
#6 髙橋恭司

21 May 2021

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写真家のプレイリスト#6 髙橋恭司 | 写真家のプレイリスト#6 髙橋恭司

毎日の生活に、またクリエイティビティに欠かせない音楽という存在。自分だけのプレイリストを気軽に作れるようになったいま、写真家たちはどんな音楽を聴いているのだろう? 第6回は、1994年、世界的詩人、チャールズ・ブコウスキーにタイトルをつけてもらった処女作品集『The mad broom of life』によりデビュー、1990年代カルト写真家として注目され、以来コアなファンの支持を得て、作品をアップデートし続けている髙橋恭司。5月22日から始まる山梨・ギャラリートラックスでの展示「Butterfly Effect」では、写真のみならず絵画の作品も発表し、新たな表現の幅を広げている。写真と出会う前から音楽が身近な存在だった髙橋が今回選んでくれたのは、ジョン・ケージ「易の音楽(music of changes)」。占いの表を参考に作曲され、音の組み合わせやテンポなどを一回一回コインを投げて決められたという作品を選んだ理由とは?複雑な音とリズムの重なりに耳を傾けて、早速聞いてみよう。

写真・文=髙橋恭司

「Butterfly Effect」

「Butterfly Effect」

   “ジョン・ケージ: 易の音楽” 
 デイヴィッド・チューダー

僕が蝶の写真を
撮った時、
あたまの中にあったのは、
荘子の蝶の話と
ダミアン・ハーストの蝶の
作品だった。

展示のタイトルは、
タブッキの短編小説
『ニューヨークの蝶の羽ばたきは
北京に台風を起こすことができるか?』
から、引用した。
カオス理論である。
天気予報は
完全には
当たらない、、、、。

ケージの「易の音楽」
を紹介したのは、
あまりにも この音楽が
美しいからだ。
圧倒的、宇宙的に『易経』
の本は美しい。

何故か僕には占いが
詩的に感じてしまうのだ。

このケージの音楽と
展示の「Butterfly Effect」の内容は
何も関係ないが
全く無関係でもないように思われて
選んだ。

「Butterfly Effect」
今回の展示では、自然が僕に見せる摩訶不思議な表情、薔薇の花びらの曲線の複雑さ、滝の水流のラインの複雑さ、そのようなものに惹かれて写真を撮りました。一方絵画の方は、白いキャンバスまたは水彩紙に、幻のように見える色彩を、後から筆でなぞるような試みをしました。アブリオリな幻影を着色しています。

タイトル

「Butterfly Effect」

会期

2021年5月22日(土)~6月20日(日)

会場

Gallery Trax(山梨県)

時間

11:00~17:00

休廊日

火〜木曜

URL

https://www.gallery-trax.com/exhibition/kyoji-takahashi-2021

髙橋恭司 |Kyoji Talahashi
1960年生まれ。1990年代より広告や『Purple』などファッション・カルチャー誌で作品を発表。個展「夜の深み」(nap gallery、2016年)、「WOrld’s End」(nap gallery、2019年)、グループ展「Elysian Fields」(ポンピドゥー・センター、2000年)、「写真とファッション」(東京都写真美術館、2020年)ほか。写真集に『The Mad Broom of Life』(用美社、1994年)、『Road Movie』(リトルモア、1995年)、『Takahashi Kyoji』(光琳社出版、1996年)、『Life Goes On』(光琳社出版、1997年)、『WOrld’s End』(Blue Sheep、2019年)などがある。
https://kyojitakahashi.com/
https://www.instagram.com/kyojitakahashiphoto/?hl=ja

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