毎日の生活に、またクリエイティビティに欠かせない音楽という存在。自分だけのプレイリストを気軽に作れるようになったいま、写真家たちはどんな音楽を聴いているのだろう?第10回はこれまで彼にしかできない方法で、写真表現を開拓してきた写真家・山谷佑介。近年は自身のドラム演奏を撮影するパフォーマンス「Doors」や、横須賀にある築82年の古民家を自宅兼アトリエに改築するプロジェクトを行うなど、自身の関心の移ろいとともに変化する写真表現のあり方を模索し続けている。今回は、迫るクリスマスを意識しつつ、長い夜が続く季節に聞きたい曲を選んでくれた。ひとり寂しいときにそっと寄り添うようなメロディが心地よいプレイリストからは、山谷の音楽への愛情が伝わってくる。繰り返し聴く中で、歌詞を見ながら聴いてみるのも面白いかも。夜のお供にぜひいかがだろうか?
写真・文=山谷佑介
「あの夜だけが」
1. “Christmas Card From A Hooker In Minneapolis”
トム・ウェイツ
2. “Heartaches”
アル・ボウリー、シド・フィリップス アンド ヒズ メロディアンズ
3. “あの夜だけが”
ザ・ブルー・ハーブ
4. “Alberto Balsam”
エイフェックス・ツイン
5. “YES MY LOVE”
矢沢永吉
6. “Tomorrow’s Gone”
チャーリー・メギラ
7. “Goin’ Home”
アルバート・アイラー
8. “Maggot Brain”
ファンカデリック
9. “Afraid”
グリム・グリム
10. “君はトロピカル”
中井貴一
一人で夜中に飲んでいるときに、誰かの気配が欲しくなって携帯を手にする。だけど、夜が深すぎて誰にも連絡できない。ネットサーフィンに乗りまくり、曲だけじゃなく、その人のルーツまで覗いてみる。
誰かの10分間のギターのインストは、自分の母親が死んだと思って弾いた演奏。誰かはイスラエルの土地で50年遅れのロックンロールを弾きながら明日は来ないと歌い、また違う誰かはお家に帰ろうと吹いてみたり。亡くなってしまった大切な人に捧げた曲や、とにかく君が可愛いとしかいわない歌。別れの歌と、元恋人の娼婦からもらったクリスマスカードの物語。そして愛について考える。ブルーハーブのボスが言っていました。歴史は夜に作られる。同感です。メリークリスマス。
山谷佑介 |Yusuke Yamatani
1985年、新潟県生まれ。立正大学文学部哲学科卒業後、
http://yusukeyamatani.com/