Birthe Piontek
注目作家の作品を毎日配信!第90弾はバータ・ピオンテック
「Janus」
現在探究しているテーマ「記憶と変化」の一解釈をまとめた作品。写真はすべて作家のスタジオの片隅で撮影され、制限のある領域における変化を、移り変わる光、よく静物画で描かれる果物、野菜や花などを通して表現している。より親密性を表すため、作家自身がそれらとパフォーマンスを行っている。この作品は、すべての有機物が変化の力に対峙するとき、同様に影響を受けるという本質性を考察している。私たちは常に過去を振り返りながら未来を展望し続けているが、現在進行している変化には疎く、見逃してしまうことがほとんどである。
「Abendlied」
英題は「Evening Song」。個人的な視点から家族・記憶・喪失を考察した作品。作家は2005年にドイツからカナダへ移り、その後ドイツに帰省するたびに家族を撮り続けてきた。母の認知症で引越しせざるをえなくなったときまで、40年以上住んだ家で両親が過ごした晩年を写真に残した。本作は家族内にある個々の繋がりが成長、老い、そして別れというプロセスに多大な影響を受けていることを写している。いつもそばにあったものが次世代に受け継がれ、目に見え、手で触れられるものが、家を帰れる場所にする要素となっている。それぞれのものを詩的な代理物として、潜在的な感情や言葉にできない家族の個性を描き出した。