Lucas Blalock
注目作家の作品を毎日配信!第130弾はルーカス・ブレイロック
「Oar or Ore」
ルーカス・ブレイロックは、大判カメラで撮影したフィルム写真をスキャンし、フォトショップによって加工した作品を制作している。「哀れに感じさせるなにか」に惹かれるというブレイロックは、1ドルショップやストリートから被写体を選ぶことが多い。デジタル処理で画像を完璧に仕上げるのではなく、あえて不完全にしておくことで編集過程そのものに重点を置き、日常的なものを元の文脈から切り離し、悲劇性と滑稽さを帯びたものとして描いている。20世紀初頭の前衛芸術の再現を試みたこの奇妙な写真の根底には、失敗を楽しもうとするブレイロックの熱意が内在しているため、不穏でありながらもユーモラスで、見る者に明るさをもたらしているのだ。