ジャンポール・ゴルチエという、
ファッションから表現を広げる恐るべき子ども

30 September 2019

AREA

東京都

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ジャンポール・ゴルチエ

フランス人ファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエ。1980年代からモードの世界を牽引するクリエーターだ。ファンタスティックでクラシカルなそのクリエイティビティーはファッション界を揺さぶって来た。アヴァンギャルドの旗手とされ、enfant terrible(フランス語で「恐るべき子ども」)と称される。シアトリカルな作風から、近年では自身の半生を原案としたファッションミュージカル「FASHION FREAK SHOW」を公演し、洋服だけではなく表現の領域を広げている。

そのゴルチエの創造性を垣間見られる展示「EXPANDING FASHION by JEAN PAUL GAULTIER」が東京・代官山の複合施設カシヤマ ダイカンヤマで開かれている。1階ギャラリーではなかなかお目にかかれないオートクチュールをメインとしたコレクションを展示。発表年や素材などの解説が付きで楽しめる。またステージではFASHION FREAK SHOWの編集映像を上映。両者を見ればゴルチエの作風を肌で感じ取れるだろう。

カシヤマ ダイカンヤマ1階ギャラリーで展示されるジャンポール・ゴルチエのコレクション

カシヤマ ダイカンヤマ1階ギャラリーで展示されるジャンポール・ゴルチエのコレクション

カシヤマ ダイカンヤマ1階ギャラリーで展示されるジャンポール・ゴルチエのコレクション

イベントに合わせて来日したゴルチエは、ファッションの世界に入ったきっかけについて「子どもの頃、パリの老舗キャバレー『フォリー・ベルジェ―ル』のショーをテレビで見ていて、煌びやかな衣装を自分で作りたいと思い、ファッションの世界に入った」と話す。彼にとってのファッションは舞台衣装ととても近しいものなのだろう。

ゴルチエは、一点もの、大変特別な服を作ることに興味があるのだろう。いままでにマドンナやマリリン・マンソンらのステージ衣装や、ペドロ・アルモドバル監督『キカ』『バッド・エデュケーション』『私が、生きる肌』、リュック・ベッソン監督『フィフス・エレメント』などの映画衣装を制作している。こうした経験からもミュージカルを催すのは首肯できる。実際プレタポルテ(既製服)を終了し、いまはオートクチュール(注文服)のみの発表だ。

「プレタポルテは春夏・秋冬に加え、間に挟まれるプレシーズンも作ることになり、大変忙しかった。またビジネス化してしまった。いま、その時間をFASHION FREAK SHOWに使っている」

コルセットやコーンブラといった下着を表に出すデザイン、男のスカートや女のタキシードなど既存のセクシャリティを逸脱するデザイン、歴史的衣装に民族衣装、フェティッシュとオーセンティックと、あらゆる要素を混ぜこねてゴルチエ色にまとめる。その才能は未だ類を見ない。圧倒的なデザイン力だ。

「僕のデザインはよくアヴァンギャルドといわれるけれど、違う。クラシックがベースにあるんだ。ファッションは着てもらわなければ意味がない。奇抜な服はつくっていないんだ。僕の服はベーシックなもの」と話す通り、ゴルチエの服はフォルムやパターンが特段変わっているということはない。1着1着は普通の服だ。しかしスタイリングすることで見違えるのだ。

「ファッションは時代に沿ったもの。常に前を向いて作らなければならない。デザインの発想は毎日目に入るモノから常に生まれてくる。今回の来日では新宿歌舞伎町のロボットレストランがエキサイティングだった。もちろん伝統的な歌舞伎も見たよ(笑)。それから作業服やホウキも買った。どうショーに使おうかと常に考えるね。

本当に大事なものはスマホのカメラから見ないで、自分の目で見ることが重要。例えばファッションショーだったら、バックスタイルも見てほしいし、動きも楽しんでほしい。あとで写真で見てもつまらないよ。アーティスティックなものは集中してみること。それが感動になる」

コレクションのイメージをより引き出す、キャンペーンビジュアルでは濃厚かつ幻想的な世界観を表現して来た。特にピエール・エ・ジルが撮るゲイ・カルチャーや宗教性を感じさせるメルヘンなビジュアルが代表的だ。イベントでは、地下1階カフェにてファッションフォトグラファーであり、マドンナやビョークのミュージックビデオを制作するジャン・バプティスト・モンディーノが撮影したゴルチエのキャンペーンビジュアルを展示。ゴルチエのアイコンデザインであるマリンボーダー柄に一変したカフェでくつろぎながら鑑賞できる。

地下1階カフェにはジャン・バプティスト・モンディーノ撮影のビジュアルが並ぶ

地下1階カフェにはジャン・バプティスト・モンディーノ撮影のビジュアルが並ぶ

また、2・3階物販エリア・マーケットでは80年代のアイテムを当時のままリプロダクトしたカプセルコレクション、ヴィンテージが並ぶコーナーがあるので、いまはなきプレタポルテを手に取れる貴重な機会だ。

大変アーティスティックなデザイナーだが、最後にファッションについて聞くと、「ファッションがアートかどうかはわからない。ただ僕が考えていることを表現できるもの。あと、コミュニケーションツールだね。人を化けさせる。強くなったり、魅力的に見せたり、地位を表すことだってできる。つまり自分を表現することだよ」と屈託なく話してくれた。

2021年にはFASHION FREAK SHOWがオンワードホールディングスサポートのもと、日本で公演予定。まだまだ恐るべき67歳の子どもの活躍は止まらない。

タイトル

「EXPANDING FASHION by JEAN PAUL GAULTIER」

会期

2019年9月14日(土)~10月13日(日)

会場

カシヤマ ダイカンヤマ(東京都)

時間

11:00~20:00

休館日

第1月曜(全館)、毎週月曜(4・5Fのみ)

URL

https://www.kashiyamadaikanyama.com/news/190829_02/