コンセプチュアルな制作のマインドがアー トシーンでも大きな注目を集めているPUGMENT。10月17日(土)から、PUGMENT「Almost heaven」展がSAIで開催される。
東京郊外の団地で育った。
コンクリートの四角い同じ形の家がならぶ光景。晴れた日は真っ白にまぶしく映った。
それ以外に何もないと思えるほど、整った白い場所。
そこから電車や車に乗ってどこへでも行けた。それと同じように、何にでもなれた。
だから、家族と一緒に見たものすべてが私の故郷になった。
今はずっと遠い場所にいて、それを収めた写真を見ている。
そこに私が写っているのに、まったく新しく見える景色。
いったい故郷はどこにあるのだろう?
私は、写真の山からその手がかりを見つけ出そうとしている。
―PUGMENT
ファッションレーベル「PUGMENT」は2017 年より創作活動を開始。過去よりある洋服へ対する国内服飾文化や、現代の生活や環境、社会の繋がりからテーマを用いて深く掘り下げ、毎シーズン実験的発表を行ってきた。
本コレクションは、彼らが生まれた1990 年から現在までの写真をモチーフにしている。それらは家族から送られたアルバムの写真であり、湖や水族館、船の上、草原など、旅行や行事の際に撮影されたものが中心となり、そのほとんどの写真には彼ら自身が写ってい て、確かに自らがそこに居たことを示している。しかし、そのほとんどは彼らの記憶から消え去り自らの体験として思い出すことができない。PUGMENT はそれらの写真を、衣服の型紙の形に切り抜いて他のパーツと縫い合わせた。バラバラになった写真からなる風景の寄せ集まりのように形成された衣服からは、元の像を見ることは叶わない。それは大きな時間の流れから切り離された個人的な、しかし普遍的な小間切れの時間として、私たちの中に別の景色として立ちあがる。
これまでの当たり前の生活に多くの変化が起きている現代にとって、そんな今この瞬間とも通じる確かでありながら証拠のない記憶の断片に、どこか儚いながら特別な力をみる感覚を持つことはないだろうか。展示空間を覆う、些細でありながらも潜在する力が再構築され、我々の欠かせない洋服の形へと視覚化された作品群は、一種のインターメディア的アートピースの側面も感じる。また、その無二なビジュアルと同時に、いたずらに過ぎていくものだった記憶の刹那が、創作によりと変化していく過程。我々はそれを前にして、内包する豊かさを再認識するだろう。
アマナが提供するプリントディレクションサービスFLAT LABOでは、洋服のパターンをプリント、それを額装する制作を担当。
タイトル | PUGMENT「Almost heaven」 |
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日程 | 2020年10月17日(土)~11月8日(日) |
会場 | SAI(東京都) |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。